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凛とした二人が描き出すその人は・・・ー天切り松 闇がたり 第二夜 残侠ー

昨年観た、朗読劇 「天切り松 闇がたり」のパート2を観てまいりました。

場所は紀尾井ホール小ホール、第二夜というのが正式名称ですが、すまけいがパート2といって舞台を始めたのがとても印象に残っていて・・・。

同じ匂いから始まった舞台ですが、しかし、第一夜とはまた趣のことなる物語となりました。

(ここからはネタバレがあります。ご留意ください)

第一夜同様、落語で言う枕のような部分があって、尺八にせかされるように物語に入っていきます、このあたりは上等の落語とおんなじ呼吸・・・。たちまちのうちに場内の空気がすっと締まって、物語が展開していきます。

浅草にお参りという華やいだ雰囲気にも、粋と筋目がしっかり通った物語の展開・・・。大道芸に行き着くまでの雰囲気がまたよいのですよ。聞こえない音が聞こえてくる。仲見世のざわめき、周囲の店たち・・・。

清水の次郎長一門の小政が主人公の一家を尋ねてくるところが前半一番の見せ場・・。昔かたぎの啖呵がしっかりと重みを持って決まるあたりはまさに聞かせどころ・・・。噺の密度が自在に動く感じで、そこに登場人物たちの息遣いのようなものまでがすっと空気に溶けていく。

すまけいの表情の豊かさ、ここ一番の押しの強さ、そしてふっとぬくような部分にできるやわらかい空間・・・。

尺八の音がさらに空間の色を鮮やかにして・・・、気がつけば見えないものが見えないがゆえにくっきりとそこにあって、その臨場感に酔いしれている感じ・・・。

楽に呼吸をしているつもりでも、登場人物の息遣いがとりついているような・・・。その緊張感が場内をあたためていく・・・。

後半、鷲尾真知子がからむ物語では、さらに舞台上に見えないものが見えてきます。三越のティールームのモダンさ、鷲尾真知子演じるお紺の心の動き、粋な仕草に垣間見える女心がちょっとユーモラスでもあり・・・。当時一番おしゃれだった場所の、喧騒を伴ったぜいたくさのなかにいる彼女が、竹下夢二を見つけたときのふっと浮き立つような心情がゆっくりと観客につたわってくる・・・。そして竹下夢二が観るお紺と、お紺自身が竹下に見せるお紺の見事な落差・・・・。ニコライ堂を舞台にどこか頑固で自分を疑わない二人が作り上げるそれぞれの世界のちぐはぐさ。背中の刺青を見せて、これが本当の自分だというお紺に、宵待ち草とタイトルがつくような清楚でどこかとまどったような女性を見る竹下夢二。

これが本当と晒した自分自身の、さらに奥を見透かされたときのお紺のあっけんからんとした驚きがすごくよいのですよ。そんな竹下に彼女の流儀で自らの筋をとおすお紺も震えがくるほど粋なわけで・・・。

ただ、その仕草や立ち振る舞いで演じる粋とはわけが違う・・・。心情から伝わってくる粋は格が違うのです。

観終わって上智大学からイグナチオ教会への道を帰りながら、自分がゆっくりと劇場の空気を抜け出して平成二十年の世界に戻っていくのを感じて・・・。

たとえばもっとずっと先にこの時代が語られるとき、なにがこの時代の「粋」になるのだろうとぼんやりと思いを馳せたことでした。

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