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花はどこへいった さらに一瞬のクオリティが加われば・・・さぞや・・

8月28日に知り合いが出ているからと会社の人に連れられて、3人連れで松崎しん・プロデュース公演、「花はどこへいった」を見てきました。5人のダンサーにアクターが入り、さらにnoge_farmの写真が入ったパフォーマンスでした。

コラボレーションのメソッドやクオリティ自体はびっくりするほど斬新なものではありませんでしたが、イメージの表し方は観客に対してまっすぐで好感が持てました。ダンサーたちの動きには観客のイメージを引っ張り出すようなトリガーが少なく、表現についても具体性にもかけるイメージの集積が多かったのですが、そこには呼吸をする世界が確実に存在していて、見ていて飽きなかった・・・。朗読の内容も、パフォーマンスとは直接交じり合わないのですが、ダンスとせりふの互いが互いの借景になっているような部分があって、後半になるにしたがって、風景が舞台のなかに浮かんで来たように思います。マネーネ、デートリッヒ(?)の歌唱映像と舞踏が重なり合って世界を作ったパートでは、青年の一途な感じがまっすぐと観客に届いたし、女性3人が椅子を使ってのダンスなどからはやわらかくかつビビットな世界感が伝わってきました。

ただ、作り手がイメージし、表現しようとしたものは、きっと私の心に留まったものよりはるかに大きかったのだと思います。それをきちんと受け取れなかったのは、たぶん表現者の座標軸のようなものが舞台から十分に浮かび上がってこなかったから・・・。舞台上に存在するものについて、ただ、「そこにある」以上の意味が伝わってこないのです。

たぶん空間を一番しっかりと表現したのは松崎しんさんで、かれのダイナミックな動きは空気を積み上げて形にするだけの力があって、存在する事象を想起させるのに十分でした。横山絵美さんのダンスにも力がありました。彼女の動きからはやわらかい空気の動きや心の躍動のようなものが伝わってきました。それらが写真や映像、さらには朗読と重なるとき、ふっと心に共鳴するような立体感のある鼓動を感じたのも事実です。個々のダンサーや、役者、映し出される写真には想起したものを伝える力があるのだと思います。

しかしながら、一連のパフォーマンスから、色が浮びあがっても、色がかさなり新しい色へとひろがったり、舞台上の世界がふくらむことはあまりなかったような。たとえば、歌から感動をもらうとき、もちろん歌手の技量やスピリットが一番に問われるのですが、それだけではなく、伴奏の技量や曲のアレンジなどにより感動の大きさは著しく変わってくるじゃないですか・・・。ダンスパフォーマンスも同じで、ひとつずつの動きに心を揺さぶるものがあっても、それが増幅されない限り個々の発するイメージは舞台の上で霧散するしかない・・・。

ユニゾンの部分、意図してずらしていくような振り付けなのかもしれません。シンメントリーな動きのずれは舞台全体にやわらかさを生んでいたような気もします。でも、それらのイメージは次の動きの感動に重なることがない・・・。ユニゾンであれば鉄板のユニゾンが表現されて、その上でずれがトランジットになりえるのだろうし、シンメントリーな動きは髪の毛一本ずれることなくシンメントリーであってはじめてそのあとの崩れが生きてくるのだろうと思います。たとえ一瞬でもいいのです。観客の心を刺して舞台と観客の間にある幕を切り裂いてくれないと観客はクリアに舞台上の出来事を自らの思いに置き換えることができない・・・。

ソロの部分、あるいは一人ひとりの動きには力を感じただけに、さらには映し出される写真に想起される世界とダンサーひとりひとりの動きが重なる瞬間になにかがぷるっと震えて見えただけに・・・、それらの重なり合いにもっと力があればと感じたことでした。

とはいうものの、前述のとおり、現実の世界からふっと離れてイメージの世界に心を浸した感覚、とても心地よく、「花はどこにいくの」のタイトルチューンにのったソロダンスや前述の女性3人の椅子を使ったダンスのイメージがやわらかに心を満たして、それなりに満足はしたのですが・・・。

どうも半分膨らんだ風船を持たされれたような感じも否めないのです。

花はどこへいった」(松崎しん・プロデュース公演)

2007.8.28 シアターバビロンの流れのほとりにて

Cast::松崎しん・木村 幹・横山絵美・根耒裕子・佐藤信光

Actor:大森啓祠郎   Photo:noge_farm

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