ひーはー、Piperワールドを支える家族
Piperの「ひーはー」を見ました。
まあ、ひたすら笑って幸せなカーテンコールを見れて大満足だったのですが、冷静に考えると非常に緻密な演劇だったような・・・。2004年の暮れに見た「スプーキーハウス」の最後のシーンで後藤ひろひと氏がモアスプーキーハウスをといっていたのですが、その約束を見事に守った形となりました。
(ここからネタバレがあります。東京公演は終わっていますが、他地区の公演はこれからだそうです。十分にご注意ください)
この「ひーはー」、物語の設定はきわめてスプーキーハウスと似ています。使われていない大きな家(今回は潰れたステーキハウスという設定)に半ば不法占拠のように住み着いた3人親子、そこにいろんな人間がやってきて、ドタバタ喜劇が始まるというもの・・・。スプーキーハウスの時には、取材に来たテレビクルーと泥棒に加えて神経質なとなりの住人が加わって狂気をさらに広げていました。今回は同じ設定の親子に車を沼にはめてタレントを見捨ててきたイベント屋のふたり、西部劇ファンのオフ会をそのステーキハウスでやろうとするグループに狂気を広げるのは親子の親の同窓生です。
後藤ひろひとは、いわば同じ容器を使いまわして、微妙にテイストの違う物語を構築していきます。誤解が誤解を生み物語が大混乱に陥る部分などはスプーキーハウスよりパワーアップしている感じ、また、銃などの小道具の使い方も厚みがましています。そしてなによりも動きが若干早くなり伏線の数が増えている感じ・・・。同じフレームでありながら3年前の面白さにとテイストが若干変わって進化している・・・。
道具立ても相変わらず洗練されていました。クロードチアリがらみのネタと外人部隊がらみの話に広がりがさらに大きい感じになっていました。
そもそもいくつかの掛け違いからの発展する度合いがちょうどよいのです。バランスがよいというか・・・。おまけにひとつの掛け違いと他の掛け違いの引っ掛け方に創意があります。ロジックが通っているにもかかわらずタイトでなくどこかラフなところがあって、すっと観客に入って気持ちよく出て行く。きっかけが多少強引であっても貫き通すところにもセンスが見られます。それらを支えているのが役者の出入りの緻密さとシチュエーションにあわせた演技の見事さ・・・。いくつもの異なる状況を同じ舞台におくので役者の演技だけが観客はたより・・・。それに役者は十分に答えてくれるのです。
おまけに借景で古くからのPiperファンへの配慮をわすれないところもリピーターにはうれしかったりして・・・。スプーキーハウスのときにもPiperがらみの旧作「ニコラスマクファーソン」や「スリーテナーズ」のつながりで知るひとぞ知るみたいな感じになっていましたが、今回は前作「スプーキーハウス」ねたがうまくちりばめられています。いちげんさんにも十分楽しめるのですが、おなじみさんにはさらに楽しめる秘密がちゃんと隠されているのです。
しかもエンタティメントとしてのつくりもばっちり・・・。今回は水野美紀の踊りがなかなか秀逸で魅せられます。それと「もじゃげ君の歌」というのがあるのですが、これが耳に残るの何の・・・。どうしてこういう歌を考え付きますかねぇ・・・。また山内・楠見のコンビで歌うとこれがはまるのですよ・・・。
ラストシーンもスプーキーハウスをそのまま踏襲した形でちゃんとつじつまを合わせています。
こういうコメディは見ていて本当に楽しい・・・。
時間の忘れさせるだけの力がある気取らない上質なコメディに、観客の拍手はなりやまないのです。
公演の記録:
東京公演:7月26日~8月12日@本多劇場でした
作・演出・出演: 後藤ひろひと
出演 :山内圭哉 楠見薫 平田敦子 川下大洋 片桐仁 竹下宏太郎 水野美紀 腹筋善之助
このあと、仙台(17日)、名古屋(22日)、福岡(25日)、広島(28日)、大阪(30日~9月2日)と全国を回るようですが、超おすすめです。
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