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そこに支柱があればこそ・・・(アロッタファジャイナ&G-UP Presents on April 7th)

最初にお詫び・・・

前回の書き込みに本館へのリンクということでアロッタファジャイナ「1999.9年の夏休み」の感想をリンクしたのですが、どうやら下書きの方にリンクをしてしまったみたいです。

友人から日本語がおかしいとの指摘をもらって確認したら、まだ編集途中の文章で、日本語になっていない部分が多々・・・。ところどころ意味がわかるという感じでこれを読んでいただいた皆様には申し訳なくて・・・。すこしはましな文章(ほぼ完成品)の方にリンクを張り替えましたので、すでにお読みいただいた方ももう一度のぞいていただけるとうれしいです。言いたいことは代わっていないのですが、少しは伝わりやすくなっていると思うので・・・。

R-Clubアロッタファジャイナ劇評

さてさて、アロッタファジャイナで大きな感動をもらった私は、同じ日にもう一本芝居を観ました。G-UPプロデュースの「アリスの愛はどこにある」です。新宿FACEという歌舞伎町のど真ん中のライブハウスが会場で、それは通常の演劇ではあまりない空間・・・。天井が比較的低い感じ、ただ、全体に広々としている・・・。

この空間には功罪がありました。良いなと思ったのは、うそっぽい世界に不自然さを感じないなにかをこの空間が与えてくれること。観客も箱庭というか作り物の世界に閉じ込められたような感覚を得ることが出来、その世界の物語にすなおに溶け込んでいけるのです。それゆえ、主人公の感情も等身大にみえるしいろいろなものを目の前の舞台に投影することができる・・・。そもそも、物語の設定が絵本の中ですから、ぴったりといえばぴったりの雰囲気・・・。

ただ、矛盾しているしうまくいえないのですが・・・・。この空間では本当に芝居に引き込まれたとき、世界をとても狭く感じるのです。不思議なもので天井の高さって想像力の広がりを左右するのですね・・・。新谷真弓さんが感情をすべて開放したような名演技を見せるとき、所詮は絵本の中という感覚を与える天井は、物語がブレイクするのを邪魔をしたような気がしました。意識下にない閉塞感みたいなものが、天井からやってくるのかもしれません。

芝居自体は、とてもテイスティでしたよ。新谷真弓さんの実力ってナイロンの本公演以外にも何本か見ていて、その実力は十分承知しているつもりなのですが、それでも驚かされる出来のよさ・・・。すっと、観客をつかみそのままひきずっていきましたから・・・。ちょっとひねくれてわがままな彼女演じるキャラクターに、共感を覚えるのは何故なのでしょうね。その共感が強いから、最後の電話のシーンがじわっと心に染みる・・・。

共演者たちもしっかりと安定した演技で新谷さんの演技を支えていました。特に目を惹いたのが桑原裕子さん。昔双数姉妹に客演しているのを見てその演技の説得力に舌を巻いた覚えがあるのですが、今回の演技も観客によい重さを与えるすばらしいものでした。作家としてだけでなく、役者の能力の高さを見事に照明して見せました。桜子さんも印象に残りましたね。なにか心に小さな印をつけていくような演技でした。小宮山実花さんは他の劇団で何度か拝見していましたが抜けるような明るさがあってとても魅力的・・・。楠見さんはもう貫禄ですね・・・。動かなくてもちゃんと感情をしっかりと伝えられる・・・。瀧川英次さんもチェルフィッチュや七里ガ浜オールスターズの演技とはまったく違う一面を見せてくれて・・。

しかし、今回一番おいしかったのはうさぎ役の高木稟さんでしょう。新谷のリズムを壊さないように、でもしっかりと自分のリズムで演技をする。その淡々としたところにものすごくよい味がうまれていました。ほかの役者も本当に安定していて、見ているほうは力を抜いてゆだねるだけで十分に物語を感じることができました。

ふと、思ったのですが・・・絵本の世界がハッピーエンドから遠ざかっていくときの新谷真弓さんのお芝居は多分今までに見た彼女の芝居の中で最高のものだったと思います。彼女の舞台はたぶん10作以上見ているけれど、あんなに強い気持ちが観客にまっすぐ伝わったのをみたことがありません。それは彼女の演技がいよいよ円熟の域に入ってきた証でもあるのですが、同時に周りの役者達が彼女の力が最大にさせるよう、しっかりと演技をしていたことも大きいと思います。役者達のの演技に余裕があるから、新谷が生きる・・。生かされた新谷の演技が卓越しているから他の役者たちの努力は倍になって観客に影響する・・・。なんかそういう良い循環を舞台に感じました。

舞台でよい芝居が生まれるときには、支えるゆったりとした力が存在しているものなのでしょうね・・。そうそう、11日に「1999.9年の夏休み」のチャット大会があって拝見していたのですが(別のことをしながらだったのでほとんどROMしていた)、アロッタファジャイナの制作(兼役者)の方がしっかりと支柱になってチャットの雰囲気を見事に守っているのです。懐が深いというか、ゆとりを持って全体の状況を把握しながら自分も楽しんでいらっしゃるというか・・・。本番中のステージでもきっと彼女などが支えているから、少年役の女優さん達の演技に一段の伸びと鋭さがあったのだなと悟ったことでした。チャットの終わりごろにその制作の方に直接お礼が言いたくて(舞台を拝見するときにお世話になったので)入れていただいたのですが、そのときも素敵な雰囲気でご対応をいただいて・・・。とてもうれしかったです。

良い舞台っていうのは必ずそういう支柱になる方がいらっしゃるのだと思います。「1999,9年の夏休み」ではその制作兼役者、ナカガワミチコさん(看護士長役)や蒻崎今日子さん、さらには三松さんが担っていたように思えるし、「アリスの愛はどこにある」では楠見薫さんをはじめ桑原裕子さんなどもその役を果たしていたのだと思います。

まあ、支柱がしっかりしている建物は崩れないということなのでしょうが・・・

それは芝居に限らず、どんな表現や仕事でも同じなのかもしれませんね。

ふと感じたことでした。

R-Club

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