裁判のたのしみ、色のたのしみ
本の話です。
小説ばかりを読んでいると、たまには毛色の違ったものを読みたくなるもの・・・。
通勤途中にサクっと読めるものがいいので、そうなると文庫か新書ということになります。
最近ちょっといいなって思った2冊をご紹介
・裁判官の爆笑お言葉集 (長嶺超輝著 幻冬舎新書)
裁判において実際に裁判官が発した言葉を集めたものですが、ことが裁判だけにシチュエーションも考えあわせると良質なコメディーや世話物の世界を味わえます。。見開いた右に裁判官の言葉、左に解説というのもとても読みやすい。
「死刑はやむおえないが私としては君には出来るだけ長く生きていてもらいたい」とか「刑務所に入りたいのなら放火のような重大な犯罪ではなくて窃盗とか他にも・・・」、その背景が解説されているのですが・・・、まあ、リアルな法廷でのマジ発言ですからねぇ・・・。コメディは演じる役者がまじになればなるほど面白いという鉄則を地で証明しているような・・・。
そもそも、裁判官ってイメージ的には中立で公正でじゃないですか。でも、一般的な想像を超えた事案の法廷では一言付け加えたくなる判事の方も多いみたいで・・・。元ネタが下手な芝居なんかよりよっぽど劇的だったりするわけですから、そんなシチュエーションでの裁判官のひとことがてんこもりになっている本が面白くないわけがないのです。
まあ、コメディ的な部分だけではなく、裁判官の言葉の裏にあるシリアスな物語なんかも垣間見えたりして・・・、読んでいくとはまります。200ページ強があっという間です。
こういう本が出るっていうことは、世相がそれなりに明るいからのような気もするし・・・。
いずれにしても肩の凝らない通勤退屈しのぎの良書です。
・私の好きな色 500 (野村順一著 文春文庫+Plus)
目次の部分にぱタイトルをつけられた500の色、赤とか青とかではなくたとえば「馬車のわだち」とか「にんじんのグラッセ」などその色を象徴するような名前がつけられています。
どの色が好きか、迷いながらの品定め・・・、それがけっこうわくわくもの・・・。
本文にはそれぞれの色を好む人の性格や求めるもの、適性などが簡潔につづられていて・・・。コーディネーションについてのアドバイスも添えられている。
500の色、500のアスペクト・・・、最初は自分の求める色から示される自分自身についての記述を楽しんでいるのですが、次第にさまざまな色の持つ物語や薀蓄を知るのがとても楽しくなってきて・・・。
物理的には数時間で読みきってしまえる厚さの本であるにもかかわらず、まるでおいしい金平糖をすこしずつつまむように、今晩はこの色、今朝の気分だとこの色みたいに読み進む・・・・。
500はたくさんあって、何度も読まれては物語が心に紡がれる色と一度も目に留められることのない色と・・。その斑が自分自身だったりするのもいとおかしく・・・
電車に閉じ込められている片道1時間、特に帰りの電車の小さな現実逃避、楽しいですよ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント