Vivid (どぶ@大駱駝鑑 & 空間ゼリーのつづき
すこし、遅くなりましたが、大駱駝鑑をはじめてみました。先週の日曜日です。前回の書き込みであまりにもあっさりふれただけだったし、本館に書き込むのをちょっと迷っているのでこちらで補足ということで・・・。
白塗り系の舞踏というのは、昔からどうも難しいという印象があって・・・。強いて見に行きたいとは思わなかったのです。しかし、一度は観ておいても良いものという思いはけっこうありました。
で、観るとこれがおもしろいのなんの・・・。もっと意味がないものなのかと思っていたのですが、すごく豊潤な内容で・・・。
まず演者の肉体がすごい・・。イメージと違って筋肉むきむきというわけではないのですね、無駄がそぎ落とされた感じはするものの、そこにパワーのようなものは感じられない。しかし内なる力というかしなやかさには息を呑むしかない。
最初の、水が高いところから落ちてくるイメージの表現に魅了されると、あとはもう彼らの作るイメージに流されていくばかり・・・。いくつかの対比するイメージのなかで、夢と現の境界線を遊ぶ心地にゆらぐ時間のなんと豊かなことか・・・。観客はただ座ってみているだけなのに何かから解き放たれたような感覚すらあって・・・。
何かから突き抜けた肉体の動きは、舞台を観るものが現実との間で繋いでいた糸のような感覚すら麻痺させてしまうのかもしれませんね。
本当にとても不思議なのですよ。、肉体で表現するものはほとんどすべてがイメージの積み重ね、観客に眠っている感覚の借景でもあるはずなのに、でも生々しい感触が舞台にはあって・・・。そう、Vividという言葉が一番適切かもしれない。
私個人的な解釈かもしれませんが、Vividという言葉にはナチュラルなものがベースにあってそれが活性化するようなイメージがあります。で、大駱駝鑑の白塗りはどうかというと・・・、抽象化の権化のような表現なのにこれがとても自然に思えてくるのです。不思議だけれどVivid・・・、そんな風に評するのは彼らに失礼なのかもしれませんが・・・。
そうそう、Vividということでは「空間ゼリー」の舞台などは本当にVividだった。舞台だけでなく舞台の外側にあるもの、たとえば彼女達のブログなどもVivid・・・、そこにはしっかりとした力が内包されていて、読むものをちょっと幸せな気持ちにさせてくれます。。
極め付きは「空間ゼリー」の公演に今回出演されていた冬月ちきさんの個人ブログ(Window to the World)で、そのVividなこと・・・、かなりしっかり更新されていてボリュームもあったのですが、思わず取り込まれるようにさかのぼって最初まで読み漁ってしまいました。特別工夫がされていたりり大きくデフォルメされたような表現はまったくないのですが、天分というか、彼女がなにかを生き生きと表現する才能にめぐまれていることが、このブログからしっかりと伝わってくるのです。まっすぐできれいな言葉もたくさんあります。
「ゼリーの空間」の他の役者達にも、形は違っていてもVividな何かが内包されているのでしょうね・・・。もしかして坪田さんが引き出したものなのかもしれませんが・・・。そして「ゼリーの空間」を振り返ると、Vividな役者が秀逸な脚本と創意のある演出にめぐりあってある壁を越えた稀有ともいえる舞台であったことを認識するのです
なんにしても、先週の土日は、わくわくするするお芝居ウィークエンドでした。
ところで、ちょっと余談なのですが、「ゼリーの空間」と大駱駝鑑の「どぶ」って前売りの値段も上演時間もいっしょなんですよ・・・。値段は偶然なのだろうけれど、上演時間は観客が満たされる最適の時間なのかもしれませんね・・・。
あ、フォローするわけではありませんが鴻上尚史さんの「僕たちの好きだった革命」にもよいシーンはたくさんありましたよ。劇中で歌われる「私達の望むものは」はそれだけで時代を超えた閉塞感を見事に表現していたと思います。昔は歌詞すら載せられなかったそうですね・・・。時は流れて・・・、今は公演の売パンフレットにしっかり載っていますが、奥行きのある歌だったことを再認識させられました。
でも、やっぱり「空間ゼリー」のインパクトが強すぎたのでしょうね・・・。「僕たちの好きだった革命」を熱く語る気になんとなくなれないのです。
一週間たってもそう感じます
PS(3月18日 追加書き込み)
ある方から、「ゼリーの空間」に出ていらっしゃる岡田あがささんのブログを教えていただきました。冬月ちきさんとはかなり異なる印象ですが、やはり強く、しかもしなやかさを持った感性を深く感じるコンテンツです。「空間ゼリー」のブログ(写メール掲示板)を見てもわかるのですが、やっぱりいろんな感性をベースにした役者達の力があの舞台を支えていたことを再認識しました。
将来、再演というお話もでるのでしょうが、よしあしは別にしてあの時間・空間の再現というのは難しいのかもしれませんね。芝居というのは観るほうにとっても一期一会の世界なのだと思い当たったことでした。
さらにPS(3月19日)
別の肩から「ゼリーの空間」にご出演だった佐藤けいこさんのブログを教えていただきました。って、ちゃんと「空間ゼリー」のHPからたどっていけば発見できたらしいのですが・・・。あわせてご紹介しておきますね。
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