言葉より強い表現(オッホ、ナーバスな虫々)
オッホ、「ナーバスな虫々」、前回の双数姉妹公演で非常によい演技を見せた吉田麻起子が出ることもあり、黒川麻衣さんの戯曲にも興味があり、なおかつ20時からの開演時間の会があったりしたものでついつい観にいってしまいました。会社勤めの人間に20時開始というのはけっこうありがたいのですよ。いろんな意味で・・・
で、芝居、最初はちょっとベタっとした感じがして、あれ、ちょっとはずしたかなと思ったのです。それが杞憂だとわかるまでに開演から15分くらい時間がありました。しばらくすると登場人物の抱えるいろんな感情がどんどん見えてくるのです。せりふに説明があるわけでもなく、これ見よがしの感情表現があるわけでもないのに・・・。
中盤をすぎるあたりからは、もう舞台に引き込まれてしまいました。吉田麻起子はさすがで、強い表現をしたあとに、その裏側の想いがしっかりと残る演技ができていて・・・。一方花田薫子も吉田とは質が違った怪演ぶりのなかで気持ちがしっかりとステージ上に残っている。パワーという意味ではふたりほどではないけれど他の役者たちも演技を流していない。それぞれが舞台にしっかりと色を残していっている。
まあ、一番前の、しかもど真ん中でみせていただいたので、特に印象が強いのかもしれませんが、ただ一言もせりふが直接伝える感情がなく、複雑な思いの連鎖が成り立つというのは、みているだけでわくわくしてしまいました。
言葉で伝える思いは、絵で言う輪郭のようなものかもしれません。輪郭が明確に伝えられることには功罪があって、はっきりするけれど広がりや立体感がなくなる。輪郭なしに描かれた絵は輪郭を描いた作品より何倍も手数がかかっているけれど、絵自体が内包するふくらみにも再現がない。
演出家や役者に力量がないとできない技なのだろうけれど、その技を見たときの感動って結構大きいのですよね・・・。
本当に週のはじめに良い作品をみせていただきました
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