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野田秀樹のマジ

野田MAPが現在上演している「ロープ」は
とても衝撃的な作品でした。

この芝居については、最初見れるなんておもっていなかったのですよ。
チケットの優先3つ全てはずすし・・・。
野田MAP自身の優先をはずしたときにはさすがにへこみました。
案内の赤い封筒を握り締め暗澹たる気持ちになりました。
最終的には一月某日のA席チケットをなんとか押さえたのですが
今年はもうあきらめていたのです。

それが、たまたまNodaMAPのHPを見ていて、
売り止めの席が追加発売になるとのことで・・・
いつからかなって思っていたら当日で
しかも受付が始まってからもう1時間近くたっている。

これはもう完売かなっておもって・・・
それでもHP上の指示に従ってPiaにアクセスしたら
土日は×印でしたが
平日のソワレだとまだ空いている日があって・・・
「当日引き換えS席」ってなんじゃいなと思うより先に
もうあわてて12月13日のチケットを押さえました。

その日は朝会社に行くとき、バックに双眼鏡を忍ばせていました。
どんな席が来るかわからないですからね。
宮沢りえさんや明星真由美さんのご尊顔が
よくわからないのはくやしいので・・・
1年ぶりくらいに定時に会社を出て・・・
コクーンにいってみたら引き換えは18:30からとのこと。
列もちゃんとできてなくて・・・

時間が来ても、当日引換券を持っている人自体が
それほどいないみたいで
さして長くはない列が受付にできただけ。
でも、けっこうどきどきして並びました。
で、私の前に4人ほどいらっしゃったのですが
最初の方が引換券と交換にチケットを受け取ると
えっと言って首をかしげるのです。
次の方は、2人連れでしたがチケットをもらうと一瞬立ち止まって
それから「なにこれ!」とか言って
二人でチケットを眺めている。
前の方もチケットを受け取ると一瞬立ち止まって、チケットに見入っている
で、どんな席がくるのだろうとどきどきしながら受付の前に立ったら
制作っぽい女性の方が本当に事務的に私の引換券を確認して
わたしてくれたチケットの席番は1F E列のセンターブロック・・・
あまりの席の良さに私も最初の方と同じように「えっ」という声が漏れてしまいました

芝居自体の詳細は本館(R-Club)をご覧いただけるとうれしいのですが
一言で言うとゆっくりとしたスローイングから壮絶な直球が飛び出すようなお芝居でした。

本当はとても重い内容の芝居なのですが
重さを感じないのです。
それどころか、宮沢りえが語り続け、
リングのなかの人々が演じ続けるその修羅場には
しっかりと青空が感じられるのです。
血の臭いと、脳漿の色と、青空・・・
藤原竜也の演技と宮沢りえの実況、さらに橋本じゅん、明星真由美
三宅弘城 宇梶剛士らの演技はそれらをしっかりと見せる。
でも、そこに重さはない。
今と同質で均質な時間のなかで
その狂気が描かれていきます。
野田秀樹のマジ
彼の溢れる才気は山ほどの
比喩や言葉遊びを思いついただろうに
ミライの一事を描くにロープを張ったリンクのイメージ以上に
膨らますことをいっさいせず
リング上とかさねてその惨劇を舞台に積み上げていきます

この芝居のコアになるシーン

リング上の狂気に包まれた熱狂。
愚直でありながら一方で英雄を気取るプライドを持った若者
リングの中での英雄は勝ち誇ります
宮沢りえの言葉は実際に演じられるよりはるかに惨憺たる光景を
観客に想起させる
観客は無駄を廃した舞台上の描写を
そのままうけとめるしかない
まして覚悟もないままに、劇団の売り止め席解放でよい席に座った観客は
自分と同じ空気の中からやってくる
事実たちをその空間のだれよりもしっかりと受け止めるしかない。
軽い、湿気のない、熱をおびた独特の感触を。

通常の野田演劇にはない感触、
観客はボール投げても豪快にスウィングをしてくれるのに
リスクを犯して自分の一番の得意球をなげこむような
投手野田秀樹のマジ・・・・。

当日バッタボックスで身構えた私には作品の内容とともに
マジな野田秀樹の感触が心から離れないのです。

今までに感じた感動とは異質のなにかに心が満たされたNODAMAPでありました

R-Club

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