だって文化の日、本谷有希子と岩井俊二 あるいは刹那
3連休ですね・・・
PSXにたまっていた番組をDVDに落として
モルモットの頭をなぜながら借りてきたDVDも観て
さらにはベランダで心地よい風をかすかに感じながら読書をして・・・
初日としてはなかなか充実していました
そうそう、衝撃的というか心をえぐるような作品にも
けっこうめぐり合って・・・
で、夜に書くのは触れたものへの書評と劇評です
・リリーシュシュのすべて
いわずと知れた岩井俊二監督の作品です
私たちの学生時代って、夢見る夢がたくさんあったのに
なにか閉塞した雰囲気
でも、これって私が20代の後半に経験したことと一緒かも
しれませんね・・。
昔、付き合っていた女性に交通事故で死なれたことがあって
(実話です)それから人生が時として刹那に切り取られて
見えるようになったのですが
そのときの感覚と映画のトーンがすごく似ているのです。
因果がありながら、感覚は刹那にやってくる
溢れるような感性と、押し縮められたような現実の刹那
10代前半の物語は
成長という構図ではなく拡散するように大人になった私にとって
まるでなにかの縮図をみるようで・・・
リリーシュシュの歌が溢れかえる感性を色に変える
溶剤のように心に流れ込んでくる
蒼井優が本当に好演で・・・
見ているものを映画の中に引き込むような
魅力があって・・・
その死が唐突なのに観ているものが受け入れられるのは
それまでの彼女の演技にひりひりするほどの必然があるから
無機質な記号が変換されてBBSのメッセージにかわり
まるで消費されるようにして塊になって・・・
いくつもの日常と非日常が交差する中で
毎日が過ぎてゆき少年は成長していく
何か麻薬が画像や音に込められているようで
かすかな痛みが染み込んでいく感じで・・・・
わけのわからない涙が突然やってくる
岩井俊二の世界観に圧倒されるばかりでした
めぐり合ってよかった映画だと思います
・生きているだけで、愛
本谷有希子さんのお芝居、「遭難、」の会場で
購入しました
表紙に本谷さんの合理的でオシャレなサインが入っています
著作権にひっかかりそうだから掲載はしませんが
彼女のもつ陽の部分が見事に表現されているような・・・
で、内容はというと、
自分への愛を捨てることなく自分と付き合っている
女性の男性にたいする愛の刹那を見事に表現した作品とでも
いいましょうか・・・
主人公の気持ちの変遷が痛いほど伝わってくるのですよ
特にバイトをしていて、自分が許容できるコップを溢れてやってくる
なにかに対応するシーンのすごさ
そして、あふれ出したものを受け止める男性との関係の
息を呑むような描写・・・
芝居でもそうなのですが
彼女の作品には、だれも見せることができない最後の一線を
さらっと見せてしまうような潔さのようなものがあって、
「ストリップ嬢が最後まで脱ぎきったときに見せる
誇りに満ちた笑顔・・」なんていったら本谷さんに怒られそうですが
なにかそれに近いものが物語から匂いたっている
欝の描写にしても、登場人物たちの愛や苛立ちの描写にしても
即物的なリアルさがそこにあって・・・
たとえばエゴンシーレが描く少女の陰部のようなリアルさと
読むものが思わず受け入れてしまうような現実感があるのです
岩井作品にしても本谷作品にしても
概念がしっかりとあってその中で物語が踊るのではなく
流動的な感覚のなかに物語が浮かび上がっていく感じがします
それは私自身の過去・現在、それどころか未来までが
ある種の液体で浸潤していく感覚を醸成して・・・
晴天の文化の日に
秋いっぱいの日差しのかなで
すこし冷たい風を感じながら
私は透明なものに満たされた心をもてあますしか
なかったのでした
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コメント
りいちろさん、はじめまして。こんばんは。
先日コメントいただきました「まっしろな気持ち」のましろです。
岩井俊二作品。エゴン・シーレ。それに本谷さん!!!
わたしの大好きなものが1つの記事になっていて、圧倒されました。
充実の文化の日デスネ。とても素敵だと思いますよ。
またお邪魔します。
投稿: ましろ | 2006/11/04 22:03