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本物のすごさ(笑福亭福笑独演会)

今年の笑福亭福笑師匠の独演会は
新作が2本
いやぁ、やっぱり生福笑はすごいですね。
席も自由席で4列目のド真ん中が確保できたので
益々です。
これが福笑師匠の落語だったから腹筋が痛くなるだけですんでいたけれど
「寝床」の大家さんの義太夫だったら私は間違えなく死んでいたかもしれませんね

落語のネタばれっていうのも何ですけれど
後半にやられた「入院」、前半部分、ねたふりの精密検診に至るまでのやりとりも
非常に味わい深く、福笑師匠の芸の円熟味を十分味わうことが
出来るものでしたが
病室に入ってからの中盤、さらには最後のオチまで一気に持っていくところは
もうひたすら圧倒されっぱなしでした。
繰り返しの笑い、奇抜な発想、ひとりつっこみ・・・
笑いのためなら手段をえらばずというか、笑いのテクニックてんこ盛りというか・・
最初、強がっていた同室の患者にふりかかる不幸の
表現が本当に絶妙で・・・
もう、その時点から客の理性が完全に高座からやってくる勢いに
引きずられてしまう
終盤患者がかんちがいの火事で引きずられていくところ
4階から1階までいっきでしたね・・・
階段を引きずられていく様子が音で見事に表現されていく
踊場を曲がるようなところが絶妙でね・・・
その段階で私は完全に自分の笑いを制御できなくなっていました

グルーブ感のある落語といえば、亡くなった桂枝雀師匠の落語、
関東では先代の文治師匠にも勢いがありましたが、
そこには作られたきれいさみたいなものがあって
笑う方もちゃんと底を持って笑っていたようなところがありました
しかし福笑師匠の場合、底をはずして笑わせるような
グルーブ感があるような気がします
だからこそ、終盤の力技が下品でなく
生きて観客を躍動させるような効果を生んでいくのではないでしょうか

やっぱり東京の独演会、回数が少なすぎるよなぁ・・・。
定席にも出ていただきたいものです
まあ、あの高座はある程度力をためないと
難しいのかもしれませんが・・・
せめて関東地区での独演会、もっとふやしてもらえませんかねぇ・・・

関西では福笑師匠、3席演じられたそうな・・・
1000人入って・・・
しかもドカンドカン来ていたそうな・
・・

昔々、学生の時に「平林」という前座噺を聞いていらい
大好きな噺家さんですが
(歳がばれるけれど・・・)
もっともっといろんなお題をうかがってみたい

チケットが取りにくくなると困りますが
まあ、当代1~2を争う落語家であることだけは
まちがいありませんから・・・
聴かないとその分人生損になりまっせ

R-Club

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下北サンディーズ 下北沢の香りを添えて

下北サンディーズが始まりましたね・・・

それなりのエピソードをパクチーのようにもりつけて
下北沢の香りを出すことに成功していたと思います
原作の石田良衣に加えて
河原雅彦の脚本、堤幸彦の演出ということでしたが
テレビにしっかりなじんだ演出だけれどどこかに演劇的な香りがあって・・・
観ていても違和感なく、まあ無難な立ち上がりというところではないでしょうか

リズムがいいですよね・・・
主人公の生い立ちからキャラクターまで気持ちのよいスピードに乗って表現されていきます
芝居だと取り込まれる感じですよね・・・
そして、演劇への想いがちゃんと織り込まれている・・・

上戸彩は透明感が強くて癖がないから、
その分小劇場の役者たちをスパイスのようにちりばめて、
さらにはケラさんをなにげに引っ張り出して・・・
三宅弘城とか古田新太とかの貫禄のある演技もよかったけれど
演劇人側に立って演技をしている佐々木蔵之介は
本当によい出来で・・・
医龍の藤吉先生役もよかったけれどね・・・
惑星ピスタチオの時代の彼からはふたかわ以上向けた感じがするし・・・

三谷・野田のネタは別にしても
劇場での芝居の前説やアンケートへの協力依頼の口調など
演劇好きへのくすぐりも多く
まあ、演劇好きにはたまらない作品ですね・・・
駅前劇場とOffOffシアターの雰囲気にもけっこう笑った

しいて言えば舞台の演技までもうちょっと本物っぽい
切れがあるというまでもなかったのですが・・・

いずれにしても
視聴率とれるといいですねぇ・・・
陰ながら応援しようっと・・・

R-Club

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上級の感動は総合力(トニー賞と医龍)

先週土曜日にトニー賞の授賞式(再放送)をテレビで見て
実はけっこうはまっています。

ああいうのって見ているだけでわくわくしますよね
特にブロードウェイからみて地球の裏側に位置する場所で
生活している身にとっては・・・
画面の向こう側からその息吹のようなものが
伝わってきますものね・・・
作品賞をとった「Jersey Boys」の見せ方・・・
シンプルなバンドで歌い切る「君の瞳に恋してる」自体がけっこう魅力的で
(声がすばらしく良い)
しかもそのあとブラスが入って、ボーカルが4人になって,バックダンサーがついて・・
そう、4人がかっこいいんですよねぇ・・・
ちょっとしたしぐさがむちゃくちゃ切れている
本当のキレって大仰なものでなくさりげないものだということが
テレビを通してでも十分に伝わってきます
あれは観たくなります

「パジャマゲーム」も魅力的でしたね
もう終わってしまったそうだけれど・・・
あの振り付けもけっこう凄かったですね
集団の作り方とかにもスピードや力があって・・・

「三文オペラ」のシンディローパーも
凄く良い味を出していた
一種退廃的なのに熱いものを内包しているような
雰囲気が彼女から出てまるで幻想のように
劇場全体に染み込んでいく
テレビの画面からでもそれが十分にわかる
小さなしぐさ、衣装、声の出し方・・・
完璧に作られた空間だからこちらにまで伝わってくる

こうしてみていると舞台というものが
いかにいろんな力の総合なのかということが
よくわかります
ブロードウェイの役者たちですから
あたりまえのように強力な表現力や体の動きという武器をもち
観客を魅了するのですが
それをぎりぎりの発想で組み合わせて
さらに重ねていかないと良い舞台にはならない
逆にその重なり方がうまくいったとき、
ひとつだけでもものすごいパワーが
累乗のようになってとてつもない力がそこに生まれる・・・
ましてや
トニー賞のプレゼンは最初からトニー賞授賞式の持つ魔力のようなものが
個々の作品のパワーに上乗せされていて
トニー賞を借景にしてパワーをさらに倍増させているのだから
テレビで録画を観るものすら圧倒されるのも
ある意味当然のことなのかもしれません。

そう、フロードウェイで当てるためには、一点豪華主義ではだめだっていうのが
ブロードウェイ自身の凄いところですよねぇ
昔々ブロードウェイで見た「GRIND」はハロルド・プリンスのミュージカルで
なおかつベン・ヴェーリンが出ていたのにあっという間につぶれたし
Bob Fosseの最後のミュージカル、「Big Deal」も
本当にぞくっとくるようなダンスに3回も続けて見に行って
4回目は終わる一週間前だった。
あのなかのダンスは、本当にすごかったですけれどね・・・
もう2度と再演はできないだろうし・・・
(あのダンスの振り付け・指導はBob Fosseしかできないだろうから・・・)
でも、やっぱりミュージカルは総合力、
なにか特別な魅力があっても
それだけでロングランを支えていくことはできないのでしょうね。
逆に当時のことでいえば、
しっかりとした総合力があったからこそ、
危ないといわれた「Singin’ in the rain」などが
昔、それなりにロングランをできたのだと思います
いつの話しかって?まあまあ、無粋な・・・(笑)
Bob Fosseがなくなるほんの2年前のお話ですけれど・・・

テレビドラマの医龍の最終回をみていて
大満足だったのですが
あれもある意味いろんな総合力の勝利ですよね
手術のシーンも良くできていたけれどそれだけじゃない
岸部一徳の怪演だけでも支えられるものではない
手術が終わって拍手の中をバチスタ手術チームが通り抜けていくシーンが
あるじゃないですか
そこまでの緊張感をしっかりと視聴者に伝えて
空気をぎりぎりまで圧縮しておいて
一瞬の沈黙のあと
夏木マリの拍手をきっかけに一気にはじけさせる
ああいう仕掛け、
さらには階段の使い方、ちょっと臭いせりふ
ある意味みえみえだけれど
世界がしっかりできているから
臭さが味に変わったりもして・・・
さまざまな要素や工夫がまるで化学反応のように広がって
個々のしっかりと機能してはじめて生まれてくるなにかがある
最終回の圧倒的な感動には
物語の展開など基本的な部分で
感動の種が無理なく撒かれていたことが大きいのでしょうが
稲森いずみの繊細な感情表現と坂口憲二の骨太さ
小池鉄平や佐々木蔵ノ介や安部サダオの色で
しっかりと織り上げた世界があるから
その種まきができたともいえるような・・・
あのレベルまで行くと視聴者も作り物に
しっかりと身をゆだねることができますものね・・・
舞台とはちがう種類の演技力なのでしょうけれど
彼らに画面の中まで引きずりこまれたような・・・
要は演技力だけでもなく、ドラマの構成だけでもなく
一つ一つがクオリティを持った要素で築かれたからこそ
得られた勝利なのだと思います

上級の感動というのは総合力でありながら
個々の力から生まれてくる

多分、そんな話なのでしょうね・・・

まあ、すごいといえばHEROの中で
間と表情でしっかり演技をしていた中井貴一もすごかったけれど・・・
あの演技が浮かないだけの力がドラマ全体にありましたものね

世間は梅雨の真っ盛りだけれど
これだけいいものをお茶の間(死語?)で観られるなんて
テレビの総合力って
侮ってはいけないということなのかもしれませんね

R-Club

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