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味わい深い浅漬けの味=花よりもなほ

ちょっとだけ下世話な話しで申し訳ないのですが
先週、FrancFrancで浅漬けの鉢を買いました。
肉厚のガラスで同じ材質のガラスが重しのようになっています。

HPを何箇所もはしごして
浅漬けの作り方を色々と調べてはためして・・・
あちこちに書いてあったように
こぶ茶をちょっといれると確かにおいしい
あとかんきつ類をすこし入れると香りが本当によくなり
食欲をそそります
お店で買った浅漬けもそれはそれでおいしいし
京都錦の打田のお漬物クラスになると
「至福」の意味がわかるほどですが
でも自分で手をかけて工夫をして
自分にあうものが出来上がっていくというのも
なかなか楽しいもので・・・
ちょっとしたことで日々の生活がゆたかになるのですね・・・

宮沢りえと岡田准一が主役を演じる「花よりもなほ」には
たとえば浅漬けのようななにげに深い市井の風景や小さなよろこびが
たくさんちりばめられています。
長屋の面々の微妙な関係の深さや距離感のここちよさみたいなものに
見ていて段々と引き込まれてしまう。
長屋の花見の映画版という感じもしないではありませんが
落語の世界よりもっとすっきりしていて細やかな感じ。
忠臣蔵というか赤穂浪士の物語が
昆布茶の役割をはたして味わいの一層深い作品に仕上がっていました

それにつけても、宮沢りえの美しさはどう表現すればよいのでしょうね
日本一の美人ということではないのですが(私の感覚では)
息遣いやちょっとした仕草に
なんともいえない清廉さをにじませることができる女優さん。
指先まで清廉さのオーラに包まれて、
その雫がスクリーンから劇場全体にまで
振りまかれていくよう。
彼女だから、周りの個性的な役者たちに汚れ隠れることなく
存在感を主張することができるのではとも
思います。

古田新太も観ていて惚れ惚れするような役者ぶりで・・・
この人は最近芝居が一段と大きくなりましたね。
贋作「罪と罰」を観たときにも思ったのですが
なにか観客の懐にしっかり入ってくるというか
観客をも取り込むような包容力が
演技に生まれてきたような気がします

岡田准一もさすが主演を張るに足りる存在感で・・・
うちに入れた苦悩のようなものが
しっかりとした形で表現できているのが
好感触でした。

しかし、その他の役者たちも
ある意味豪華というか本当にの作品にしっかりはまっていて
一見えっと思うような役者さんでも
見ているうちにこの役ができるのは
彼(女)しかいないのではと思えてしまう。

キャスティングのうまさがしっかり支えた作品でもありました。

女優の松永玲子さんが「地味な映画」と評されていましたが
たしかにそのとおり。
これだけの役者をそろえてこれだけ地味っていうのも
ある意味びっくりかも・

でもするめだって、見栄えに派手さはないけれど
地味にかんでいればびっくりするような味が口に広がるわけで・・・
こんな映画もありかなって感じがします

で、結論としておすすめかって?
もちろん!
一回見ただけでもあれだけの味わいがあるのだもの・・・
ちょっと通好みかもしれないけれど
見所もてんこもりで
きっと上質のにゅうめんを食べたような
やわらかい満腹感と幸せを
得ることができるのではと思いますよ。
はい!

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