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THE有頂天ホテル、この歌を褒めずして

ザ有頂天ホテルを見てきました。

日劇Plex3(有楽町)は超満員、全席指定の映画館なので
開演の30分前でも全席売り切れ札止めという盛況ぶり・・・

おもしろかったですよ。
極めて演劇的な映画だとは思いましたけれど・・・
三谷幸喜一流の閉塞空間での物語の作り方が実に巧妙で
思わず乗せられてしまいました

戸田恵子も松たか子も良くてねぇ・・・
松たか子が佐藤浩市とからむシーンなど本当に見ごたえがあって・・・
映画だから舞台などのような尖った感触はないのですが
その分表情の作りがしっかりとわかって・・・

篠原涼子も本当によい女優さんになりました
存在感がしっかりと作れるようになりましたよね・・・
マルチユーティリティのよい女優さんって
日本は意外と少ないのでこれからの売れっ子ぶりが
想像できますよね・・・

原田美枝子さんも魅力的でした
あの声がほんとうに心地よくて

そう、この映画は出てくるいろんなものが心地よいのです
どこかにこだわりをもった人たちが
みんな少しずつ開放されていくところは
三谷映画の本当によい定番ですよね

生瀬勝久の敵役ぶりや西田敏行のスクリーン全体をさらう動きも
きっちりとその世界に溶け込んで・・・
伊東四郎や唐沢寿明の使い方のなんて贅沢なこと。

三谷幸喜が、しっかりと自分のトーンを確立したことを
宣言するような映画であったとも感じます

手法もびっくりするほど新しいものはない
でもオーソドックスな手法でも
しっかり使うことであんなに上品で趣のある時間を作り出せるのです
それは舞台で培ってきた物語を見せる力があるからなせる技なのでしょう
人形やバンダナ、アヒルなどの回し方など観ていてほれぼれしてしまいます

でも今回一番震えが来たのがYOUの演技、そして歌・・・
どこかに陰りがある人生だけれどけれど、
希望を捨てることが出来ない・・・
自分に嘘がつけない女性・・・
キャラクターが映画の中でしっかりと立っているのです
無表情な中にちゃんと意思を見せる演技ができるのは
絶対彼女の強みですよね・・・
なかでも、一番痺れたのは
「If my friends could see me now」という曲を歌う最後のシーン。
映画のパンフレットにもあるようにBob Fosseの名作ミュージカル
Sweet Charityで使われている曲です。
最初ためらうように、無伴奏で歌い始めるひとときがもう絶品
その瞬間に彼女は一気にSweet Charityの世界を借景にしてしまう。
100%幸せではないけれど、
心優しく常に前向きな気持ちをわすれないCharityの世界を
彼女はその独特の歌声で見事に引き寄せて見せました
あの、シーンでこの曲を選んだ三谷のセンスも抜群ですが
そのシーンを生かすための演技をしっかりと重ねて
しかも最後のシーンで見事に歌いきったYOUは
この映画の最高殊勲選手のひとりかもしれません

わたしが最初にSweet Charityを観たときのDebby Allenでも
Gwen Verdonでも現在上演中のChristina Applegateでもない
彼女の歌を褒めずして
この映画をいかに褒めても足りないようなきがします

まあ、こういう演劇的な手法を多用した映画については
若干好みもわかれるのかもしれませんが・・・

私は本当に楽しむことができました

R-Club

おまけ・・・

YOUさん、案外Sweet Charityの「I’m The Bravest Individual」あたりを
歌わせてもすばらしいかもしれませんねぇ・・・
(チャリティが一緒にエレベーターに閉じ込められた相手役のオスカーを
励ます歌。1幕の最後に歌われる)
相手役は・・・稲垣吾郎さんあたりはいかがでしょうか・・・
どっかで企画してくれないかなぁ・・・

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» THE 有頂天ホテル [映画鑑賞&グッズ探求記 映画チラシ]
●『THE 有頂天ホテル』2006年1月14日公開。『笑いの大学』(脚本)から約1年ちょい。三谷幸喜待望の新作。今度はどう笑わせてくれるのか楽しみ。『赤影』のポスター見て一目ぼれした麻生久美子も出てます。オダギリジョーも!脇役も豪華です。 (鑑賞後....... [続きを読む]

受信: 2006/02/24 19:06

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