贋作罪と罰 役者の息遣いまで・・・
17日に見た、野田MAPの贋作罪と罰・・・、まだ強い印象が
残っています。
席が、すごかったから益々なのでしょうけれど・・・
X1列 15番・・・、最初すごく後ろの席だと思っていたのです。
でもそうではなく、劇場の中央に舞台が設えていて(ひし形のような感じで)
通常舞台のある部分の一番前の列、中央の列は舞台の先端に押されて
一列分へこんでいる感じで・・・
両サイドの列の舞台に近いこと・・・
さらに舞台のそでにはいろんな小道具や椅子が置かれていて
役者たちは着替え以外は舞台脇に控えている。
多分通常の劇場でそれをみたら
役者たちが劇場全体の緊張感を心地よく一定に保っている感じで、
見えたのだと思います
でも、X1列で見る舞台ははるかに生々しかった
なにせ、座席の足元が灰色と黒に分かれていて
劇場の客席係(?)の女性が開演前に
「黒い部分は舞台ですので足を出さないようにお願いします」
といわれて観客一列全員が思わず足を引いたほど・・・
演技中にはものが転がったり飛んできたりもしました
私の足元にも、宝石に見立てた玉が転がってきたし・・・。
お墓のシーンで松たか子さんが投げつけた花が
中央座席を直撃したとき
花束が当たった女性など引きつってましたから・・・
客席以外の場所に椅子も滑り落ちてきましたが
その音もド迫力で・・・
実際のところそこまで近いと
一流の俳優さんが演技をするときの
気迫には圧倒されます
あるシーンのあと松たか子が演技を終えて
私から2mくらいの位置に座ります。
それほど、強い台詞ではなかったのですが
すこし抑え目の感情をしっかりと舞台上で表現した彼女は
椅子に座って息を整えます。
その息使いが客席にまで伝わってきて
彼女が演技の時に発散しているパワーのすごさがわかります
凛とした姿で再び気をためるように息を整える彼女からは
前のシーンの想いがたちのぼっているようにさえ思えます
そのときの彼女の美しさたるや・・・
表現する言葉を私は知りません
やがて、すこし息が落ち着いた頃、今度は彼女が扉を引く音を
作ります。算盤のような道具を椅子の上で滑らせたり
さらには木槌で椅子を叩いて扉をたたく音を作ったり・・・
ク・ナウカばりの手法で舞台を攻めます
12人の役者がお互いのテンションを維持し高めながら
舞台を作っていく姿がさらに観客を舞台にひきつけます
次の出番が近づくと彼女は帯刀し
それでもテンションを切らすことはありません
鼻の調子がよくなかったのか
手洟をかむ仕草を見せたのには驚きましたが
それとて、観客の舞台への興味を削ぐものではなく
むしろ彼女の舞台への集中すら感じさせます
やがて、彼女が次の出番へと向かうとき
温度はしっかりと舞台上と同化しています
出演者達がみなそのように舞台に上がり
舞台袖でもテンションを保つから
次々と人が動き舞台を出入りをしても
舞台上がさめることはない
テンションの保ち方は役者さんによって違うのですが
その瞳がみんな生きているのが
舞台のそばだと気で感じられて・・・
なんというかすごいものを見た印象があります
松たか子や美波・・・、この舞台でまた一ランク大きな
女優さんになっていくのかもしれませんね
野田MAPに参加するクラスの役者さんたちの
真の力を見たような・・・
ガチンコで役者の気迫や芝居の作りの緻密さを感じられて
それだけでもX1列での観劇ができたことに
大感謝でした
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