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じっと見つめる体力(ニセS高原から・五反田団)

ここのところ、なんだかんだと忙しくて
こちら(Annex)の更新も本館(R-Club)の更新もしていなかったのですが
それでもアクセス数が0にならないことには
なんか感謝いたしております。
そりゃ、なんかの検索をしていて
たまたまここに迷い込んでしまった方も多いのでしょうが
ブックマークをしてご訪問いただいている方もいらっしゃるみたいで・・・
ありがとうございます

しかし、やっぱり夏ばてなのですかねぇ・・・
感じたことはたくさんあるし、そこから派生する想いは
なんとなく浮かんで、時どきひまをみつけて膨らんでいるのに、
拙かろうがなんだろうが文字にして吐き出すような気力が
この一週間ほど弱っていたような・・・
それが欠けると私なんてブログを維持する資格すらないのですけれど・・・
自慢じゃないけれど特に文章がうまいとか、
卓越した感性を有しているとかで
誰かを感動させて存在意義を見出している
ブログではないですからねぇ・・・うちは。
そりゃずっと以前に
内容がほっくりしているブログなどという、
わけのわからない評価をいただいたことはありますが・・・
(こういう評価をいただいても喜ぶべきかの判断すらむずかしい。
そもそもほっくりってなんだろう・・・)
上手うまいの類の褒め言葉はいただいたことがあまりないですからねぇ。
ここは私が書きたい、あるいは気持ちを表わしたいという気持ちだけで
つくったブログですから
ほっくりするしないは別にして
どうも何かをいいたいというような気持ちが膨らむのだけれど
それをぶつける場所がほしいという意欲につながらないのは
ある意味危機的な状況でありました。

そんな状態で見たのが
先週の日曜日(4日)の「ニセS高原から」(五反田団Version)で、
これには本当に引き込まれました
なにせしばらく能動的な気力がなかったので本館の感想の
更新も遅れているのですが(多分
今週末にはUP)あんなに舞台上の空間に囚われた芝居って
ひさしぶりでした。
少なくとも受動的な事象への気力には満ちていたので、
ほんとうにとりこまれるように90分を見ていた
元ネタというか青年団の「S高原から」は未見なのですが
少なくともこの芝居の中では才ある役者たちによる
さまざまなトーンの演技がなされていて
凪のような時間を作れているわけでもなく、
舞台に吹く風のベクトルも一定していないにもかかわらず
空間はある種の深い安定感に支配されていました
個々の違いは大きいのに散漫さはまったく感じさせず、
色の違った砂や石がしっかりと枠の中に納まっている印象・
それはサナトリムという空間設定と死が一定の距離をこえて存在するという
ゆるやかで締め付けるような緊張感のなせる技なのでしょうか・・・
演技にも役者間で明らかに優劣が存在するのですが
それらの技量的な面も一種の歯ごたえのようになって
ムース状に作られた空間の味わいを深め
見るものをこの上もなくひきつけるのです
ゆるくここちよい緊張感とだるさ・・・、それが飽きるたぐいのものではなく
ひきつける感じのものでありつづける不思議さ・・・

たとえば内田慈さんの演技のやわらかさとセリフと裏腹の演技によるメッセージが
友達役の安藤玉恵さんの力というか彼女が持つ魅力的なテイストを
しっかり引き立てるような・・・
あるいは大倉マヤさんの演技がもつシルクのような肌触りが
音のない時間の流れを舞台に表わし
増田理さんの命の衰えをしっかりと浮かび上がらせるような・・・
双方の異なる力と味わいが密度の濃い空気のなかでしっかり反応しあうような・・

劇場を出て、しばらく皮膚がハイになっている感じ・・・
大倉マヤさんが双数姉妹に連載されている日記で当日の舞台を評して
「凄い落ち着いてまったりして」とおっしゃっていましたが
そのまったりした空気こそ、見るものとってはある種の熱ともなりうる
温度をもっていたのだと思います。

まるでゆるやかな化学反応のように熱を持つ空間って
結構すごいと思う。
その空気の中に浮かんでくるものを
じっと見つめ続けるのって結構体力を使うのですよ
渋谷までもどって、おもわずパフェのでかいやつを
食してしまいました。

しかし、入場料2000円・・・・
すごいコストパフォーマンスですよね・・・

9月26日まで公演が散発的にあるようですが
当然にお勧めです

R-Club (「ニセS高原から」感想を掲載しました


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