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笑福亭福笑のグルーブ感

シアターXに笑福亭福笑師匠の落語を聴きにいってきました。

ゲストもナイロン100℃の松永玲子さんにヒロ松元さんと
ちょっと毛色のかわった面々なれど
その分笑いも増量・・・

松永さんの落語、福笑師匠の高座と比べると
間の取り方や所作に若干ぎこちない部分はあるものの
着物の着こなしはさすがだし
凛とした感じも高座に生えておりました
まくらの部分も非常によい出来で
ここという部分でしっかりと笑いをもらっておりました。
ちゃっちゃとやってとおっしゃっておりましたが
なかなか貫禄を感じさせる話しっぷりで・・・
観客を取り込むような感じが場を一気にひとつにした感じでね・・・
むかし吾妻ひな子という芸人さんがいらっしゃって
おんな放談という三味線を使った高座をされていましたが、
(恐ろしいことにガキのころ一度寄席でみたことがあるのですよ・・・
♪おかげで日当になりました。それでは、みなさまさようなら、ははのんきだね♪って
鮮やかに覚えています)
本芸(のんき節で時節を織り込んだ歌をうたう)のまえに
客席にむかって甘い声でぼやくように語りかける話芸がほんとうにすばらしくて、
でも松永さんもそれに近いような雰囲気を作り上げていたようなきがします。
噺のほうは、最後がちょっと失速した感もありましたが
でも、女性がこの噺をやって笑いをとれるというのは
松永さんの持つ芸のなせる技かとも思います

松元ヒロさんは初見なのですが、
プロの芸人さんってやっぱりすごいですよね・・・
福笑師匠の客が違う筋肉を使って笑いこけるというか・・・
私はこういう芸が大好きなのですが
やっぱり客を選ぶ芸人さんのひとりなのかもしれませんね・・・
立川談志師匠、笑福亭福笑師匠、快楽亭ブラック師匠と会をするという想像を絶する場を体験したとのことですが(それはそれで見に行きたかった)
この方にはそういう面々に一目おかせる何かがあるのだと思います
芸人としての気概というか、自分の芸をしっかり持つというか・・・
自分の表現のためには何かを捨ててもやりぬくみたいな・・・

でも、こんなすばらしいお二人も
福笑師匠の芸の前にはやっぱり小さく見えてしまうのですよ
なんていうのだろう、
酢豆腐じゃなくて・・・、ちりとてちんの枕で
まるで橘家円蔵師匠のようにストーリーを最初に説明してしまって
それでも落語として成立させるのが芸の力やと
力瘤を作ってみせてそのとおりにするパワー
でも所作や語り口のなんて緻密なことか・・
しっかりと整備されたものすごい排気量の車で
ドライブをしているような・・・
点ではなく面でぐっと押し出されてくるよな迫力

「ちりとてちん」の
理詰めで腐った豆腐を食べざるをえなくなる
竹さんの断末魔のような逆切れのすごさ
一気に語る福笑師匠の語り口には
ある種のグルーブ感すらあって
観客はコースタが浮揚するような感覚すら味わうことになります

「ちゃんちきおけさ」ではそのグルーブ感がさらにすごくて
それが3つのエピソードごとにだんだん大きくなってやってくる
オールPのネタが関東にひとにはわからなかった部分で
jほんのちょっとスピードが落ちた以外は
圧倒的な力で押し流された感じ・・・
それはもう時間を忘れて非常に細密な非日常にほうりこまれたような感覚で
終わったときには「え、もう???」という感じでした・
芝居でもそうですが本当によいものを見たときには
時間ってなくなっちゃうのですね・・

素直にまた見たいな・・・と思いましたね
理屈とかじゃなくて、「ええもん見たな・・・」という感覚。
サブタイトルが「おもろい落語をききなはれ」だったのですが
ほんまはおもろすぎる落語をきかせてもろたという
看板にいつわりがないどころか過小な広告であったというのが
結構すごい

でも、本当によいものを見ると体力を消耗するというか
パワーがもう切れてしまうのでしょうね。
で、帰りにどぜうを食してまいりました
友人のご夫婦に連れられて森下の「伊せ喜」まで
シアターXから歩いて15分
これがまた絶品でしてね・・・
どぜうだけでなくうなぎの白焼も本当においしくて・・・

DSC00600


なんか幸せな一日で・・・
最初、配られた演目の紙をみて日付が1ヵ月後になっている(誤植)のにも驚いたけれど
おわってみれば一ヶ月はもつほどのおもしろさということで
お客さんのはずなのに、なんか福笑さんと松永さんと
松元さんには感謝してしまいました

R-Club


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猫のヒゲの仕組みの仕組み

R-Club本館にも劇評を載せたのですが
絶対王様の「猫のヒゲの仕組み」を見てきました
シアターグリーンの杮落とし・・・
なんか本当にきれいになっちゃって・・・
これまでは周りのお寺の立派さに圧倒されていたのですが
なんか立場が逆転してしまいましたね・・・
吉祥寺シアターもそうなのですが
新しい劇場ってやっぱり見やすいように工夫がされているみたいで・・・
席は縦横ともに若干狭い感じですが
それでも観客が舞台に集中することのできる劇場だと思いました

絶対王様の芝居、なかなか面白かったのですよ
でも劇中の映像の使い方にはいろいろと考えさせられてしまいました
物語を説明するというか前へ進めるための映像は
とても効果的だったと思います
映像を使ったギャグも効果的だったし・・・
ただ、映画をとる部分の映像は、ある意味芝居を台無しにしてしまった
少なくともこの芝居を成り立たせるための
映画のクオリティがあると思うのですよ・・・
それがちゃんと保たれていないというか
あまりにも雑に映画の作成シーンが描かれているので
一定の品質を持った映画を作るという暗黙の前提が
支えきれなくなっていた

最後のシーンの映像と舞台上の対比は実に良く出来ていて
舞台の明るさの表現が観客に与えるインパクトが実に強かっただけに
映画作成のシーンはもったいない気がします

映画といえばおまけ?で見ることが出来た「夢の中へ」という映画、
これが意外と言っては失礼ですがなかなか面白かったです。
あまり期待していなかったのですけれどね・・・
観ているうちにゆっくりと引き込まれていった感じでしょうか。
現実と非現実が綾織のようになっているのですが
田中哲司演ずる主人公にしっかりとした芯があって
見ていて感情移入がきちんとできる
嫌悪感をもちながらも引きずられていく
気が付けば、自分の視線が不安定な高さまで
導かれているところに気が付く・・・

役者もしっかりしてましたね・・・
そうそう、市川実和子さんの演技には舌を巻きました
女性の温感がしっかりと伝わってくる感じがして・・・
この人、リモーネの広告のイメージが強かったのですが
演技をしているところを観ると
心の内側の襞を外側から見せるような息遣いや間を作ることができる
力を持っている方でした
注目して見続けたい女優さんに出会った気がします

そう、こういう映画の現場が芝居のなかに現出すれば
絶対王様の芝居にはもっと説得力が生まれたのだと思います

まあ、そう言っても
舞台の上に説得力をつくるって難しいのだろうとは思うのですが・・・


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熱についての考察

今日は暑かったですね・・・
9月の中旬で34℃はさすがにちょっと堪えます
それも湿気の強い暑さだったからつらさも一層で・・・
盛夏とはちがったつらさがありますね・・・

しかし、五反田団の舞台の熱、
まだ、なんとなく身体に残っています
もう一週間以上過ぎるのにけっこう当たったみたいですね。
やっぱり舞台というのは映画にない何かが表現のなかに
組み込まれているようで・・・
上演前に場内に3基あるエアコンの2つを止めるので
若干暑くなるかもしれないという説明はありましたが
あの暑さはそういう類のものではなかった
ある種の化学反応に近いようなもので
舞台の空気が劇場全体に拡散するにつれて
熱をしっかりもっていったようなイメージがあります

むかーーーし、青い鳥の「青い実を食べた」というお芝居を観たときに
胸に別の空気が入ってきたような錯覚に陥ったことがあって
それ以来よい芝居に流れる空気に取り込まれる快感のようなものを
何度も経験はしているのですが、
まあ、今回のニセS高原(五反田団Version)は
格別でした。
役者の必然が起こした偶然なのかもしれませんが
ちょっと得がたい体験をしたような気がします

でも、舞台の熱って、一通りでは決してありえないから
芝居ってやめられないのですよね

そういえば
これもむかし、新宿のSpace107で「こどもの一生」を見たときの
凍えるような寒さもすごかった
山西惇の「頭の先までピッカピカ!」といいながらチェーンソウをまわす
あの存在感には
それまでの笑いが一気にふっとびましたものね・・・
作品は再演されましたが、あの寒さは得られず笑いだけが残ったりしていた
同じ作品でも熱の持ち方の違いにおどろいたものです

その手の作品では加藤健一氏演じる「審判」なんかもそうかもしれない
これまでに2度観に行ったのですが、
次に観ようと思っても
すごく心を強くしないと見ることができないような気がしますものね
座席にゆったりと座っていても自分の体力がみるみる消耗していくのが
わかりますものね・・・
まあ尾崎翠さんがおっしゃるような第七官界があるかどうかはわからないけれど
触感や味覚や何かを見たり聞いたりして理解をしたことによって生じる感情など
すべてこえてやってくる感覚って確かにあるようで・・・

ジャズのグルーブ感なんていうのもその一種なのかもしれないけれど・・

自分の中にあって震えるなにかって自分ではあまり見えていないものなのかも
しれないと思います

まだちょっと熱のようなものが醒めずにいるので
雑感でした

R-Club

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じっと見つめる体力(ニセS高原から・五反田団)

ここのところ、なんだかんだと忙しくて
こちら(Annex)の更新も本館(R-Club)の更新もしていなかったのですが
それでもアクセス数が0にならないことには
なんか感謝いたしております。
そりゃ、なんかの検索をしていて
たまたまここに迷い込んでしまった方も多いのでしょうが
ブックマークをしてご訪問いただいている方もいらっしゃるみたいで・・・
ありがとうございます

しかし、やっぱり夏ばてなのですかねぇ・・・
感じたことはたくさんあるし、そこから派生する想いは
なんとなく浮かんで、時どきひまをみつけて膨らんでいるのに、
拙かろうがなんだろうが文字にして吐き出すような気力が
この一週間ほど弱っていたような・・・
それが欠けると私なんてブログを維持する資格すらないのですけれど・・・
自慢じゃないけれど特に文章がうまいとか、
卓越した感性を有しているとかで
誰かを感動させて存在意義を見出している
ブログではないですからねぇ・・・うちは。
そりゃずっと以前に
内容がほっくりしているブログなどという、
わけのわからない評価をいただいたことはありますが・・・
(こういう評価をいただいても喜ぶべきかの判断すらむずかしい。
そもそもほっくりってなんだろう・・・)
上手うまいの類の褒め言葉はいただいたことがあまりないですからねぇ。
ここは私が書きたい、あるいは気持ちを表わしたいという気持ちだけで
つくったブログですから
ほっくりするしないは別にして
どうも何かをいいたいというような気持ちが膨らむのだけれど
それをぶつける場所がほしいという意欲につながらないのは
ある意味危機的な状況でありました。

そんな状態で見たのが
先週の日曜日(4日)の「ニセS高原から」(五反田団Version)で、
これには本当に引き込まれました
なにせしばらく能動的な気力がなかったので本館の感想の
更新も遅れているのですが(多分
今週末にはUP)あんなに舞台上の空間に囚われた芝居って
ひさしぶりでした。
少なくとも受動的な事象への気力には満ちていたので、
ほんとうにとりこまれるように90分を見ていた
元ネタというか青年団の「S高原から」は未見なのですが
少なくともこの芝居の中では才ある役者たちによる
さまざまなトーンの演技がなされていて
凪のような時間を作れているわけでもなく、
舞台に吹く風のベクトルも一定していないにもかかわらず
空間はある種の深い安定感に支配されていました
個々の違いは大きいのに散漫さはまったく感じさせず、
色の違った砂や石がしっかりと枠の中に納まっている印象・
それはサナトリムという空間設定と死が一定の距離をこえて存在するという
ゆるやかで締め付けるような緊張感のなせる技なのでしょうか・・・
演技にも役者間で明らかに優劣が存在するのですが
それらの技量的な面も一種の歯ごたえのようになって
ムース状に作られた空間の味わいを深め
見るものをこの上もなくひきつけるのです
ゆるくここちよい緊張感とだるさ・・・、それが飽きるたぐいのものではなく
ひきつける感じのものでありつづける不思議さ・・・

たとえば内田慈さんの演技のやわらかさとセリフと裏腹の演技によるメッセージが
友達役の安藤玉恵さんの力というか彼女が持つ魅力的なテイストを
しっかり引き立てるような・・・
あるいは大倉マヤさんの演技がもつシルクのような肌触りが
音のない時間の流れを舞台に表わし
増田理さんの命の衰えをしっかりと浮かび上がらせるような・・・
双方の異なる力と味わいが密度の濃い空気のなかでしっかり反応しあうような・・

劇場を出て、しばらく皮膚がハイになっている感じ・・・
大倉マヤさんが双数姉妹に連載されている日記で当日の舞台を評して
「凄い落ち着いてまったりして」とおっしゃっていましたが
そのまったりした空気こそ、見るものとってはある種の熱ともなりうる
温度をもっていたのだと思います。

まるでゆるやかな化学反応のように熱を持つ空間って
結構すごいと思う。
その空気の中に浮かんでくるものを
じっと見つめ続けるのって結構体力を使うのですよ
渋谷までもどって、おもわずパフェのでかいやつを
食してしまいました。

しかし、入場料2000円・・・・
すごいコストパフォーマンスですよね・・・

9月26日まで公演が散発的にあるようですが
当然にお勧めです

R-Club (「ニセS高原から」感想を掲載しました


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