散漫と統一(劇団健康 トーキョーあたり)あるいは小泉ミュージカルと岡田芝居
劇団健康が旗揚げして20年なのだそうで、
ひさしぶりの公演とやらをみてきました。
まあ、役者が豪華でねぇ・・・
ロマンチカの横町さんなども出ていたけれど・・・
当時はまだ駆け出しだった役者さんもいまでは一枚看板クラスの
役者さんばかりで・・・
20年というのは本当に人を育てるということが良くわかりました
感想を「R-Club」に
アップしてありますので、もしご興味をいただけるようでしたら
ご覧いただきたいのですが、それなりに客を選ぶきらいはあるといえ
個々のシーンに洗練が感じられ、ケラの力量を思い知ったことでした。
まあ、ピッチャーでいえばストレートにきちんと力がある上に
様々な変化球がきちんとコースに来る感じでしてね
あたりまえの感性で対抗していたらファールチップにしかならないけれど
自分の感性が芯でとらえたときに返ってくるインパクトは並ではない。
ある意味、真剣勝負というか自分の感性が試されている感じさえしてしまう。
今回の芝居は表面的には散漫な仕上がりにも思えるのですが
その裏にある統一された表現のセンスには舌を巻くしかないのですよ。
逆に方向があちこちの枝を支える幹がケラの中でしっかりと構築されているから
枝にぶら下がった果実に強い個性があっても
ルーズな物語のなかにしっかりと収まってくれる
作品の中のキャラメルボックスいじりなどをみていると
自虐的でチープな表現(実は贅沢な表現手法なのだけれど)の裏側に
彼一流の演劇に対する自尊と批評の精神が見え隠れして
ケラの表現の散漫さが、逆に統一感をもった広がりにつながっていることに
物語とは別の感動をしたりするのです
こういうものに対しては観る方も、真剣勝負で自分の感性を晒せるなって思う・・・
今の政治だって同じようなもの
今回の小泉さんの解散劇はしっかりとした幹を構築して
国民の感性を問うている感じがします
国民を印籠に書き込んでふりまわし
「私はこんな風に国民を手玉にとってみせます」と
自らの晴れ舞台の仲ではからずも本音というか自らの本質を露呈してしまった
綿貫某氏は論外としても
愚直に建前を貫きながら台本と演技力の薄さから
道化しかできなかった民主党の岡田氏のストレートプレイと
逆にここ一番の大舞台を見事な演出で演じぬけ
大向こうを唸らせたうえでの小泉氏の作演出ミュージカルでは
どうみても岡田氏の劇場が大入り満員とは行きにくいかも・・・
今の日本のことを考えたとき、地方への利益誘導ではだめだということなど
みんなわかっていることであり
それをどう具現化させていくかを観せる園やり方が問われている中で
岡田氏は確かに主役のせりふをしっかり語ってはいるのですが
いかんせんやっぱり表現は大根で・・・、大向こうのやじですぐに馬脚がでてしまう
大根の芝居に感性を鋭くして付き合いたいとはおもわないものなぁ・・・
まあ、臭いだけの田舎芝居を近所に浪花節を大音響でながして演じて嫌がられる
亀井氏よりはずっとよいにしても・・・
くさい役者を駆逐してそれなりに洗練されたスタッフで脇をかためた小泉氏とは
力量的にかなり大きな差があるような気がします
おんなじ値段を払うなら、青臭くて創造性に薄い民主素人演劇を観に行くよりは
しっかりと客を満足させる仕掛けいっぱいの満足感がありそうな
自民ブロードウェイミュージカルを観に行くだろうな・・・今の作品の出来では・・
むしろ、小劇場に徹している方が面白い場合があって
堀江さん@広島6区はちょっと前衛的でなおかつ革新的な出し物で
これはこれで観に行きたいと思うし
田中康夫氏なんかも風刺劇っぽくてこれはこれで興味を惹かれるのですけれどね・・・
でも田中劇団も主宰者の演出は才を感じるけれど
役者の線はいまひとつ細そうだものな・・・。
企画倒れの小劇場演劇もたくさんある昨今、一夜限りの観劇に劇団タナカを選ぶのはかなり勇気が
必要かもしれません。
もちろんブロードウェイのミュージカルだって企画倒れはたくさんあるのでしょうが
今回は郵政の衆院通過からしっかりと前公演の評判をとってきた演目ですから
これはそれなりの満足度をえられる確率が圧倒的に高い気がします。
今回の小泉さんの強さは、様々な事象がひとつの幹にしっかりと結びついて
結果としてその果実が見えていること
一つ一つのいろんなことは散漫に見えるのですけれどねぇ・・・。
だから、今回の突然の選挙の成り行きも、小泉政治という芝居全体から見ると
意外性があってなおかつ必然的でよくできた物語の一シーンなわけで・・・
むしろ客もそれだけの意外性のある大仕掛けな舞台を始められたら最後まで付き合って
カーテンコールの3回や4回はさせようかって気になりますよね・・・
ここまできていきなり岡田さんの青臭い芝居に舞台を差し替えましょうかって言われても
いまのクオリティではやっぱりいやだと思います
ケラさんにしても小泉さんにしても
ある種の天才がしっかりは待った仕事をしたときには
観客はその仕事をたっぷりと楽しむだけのゆとりを持って
座席に腰を下ろすことが一番ベストな選択であるにちがいありません
まあ、前衛劇も青臭い芝居ももたまにはいいけれど、
今見たいものは、少なくとも私には、そういうものではないという気がするのです
芝居の客の入りは9月11日のお楽しみではあるのですが・・
各劇団ともこのままの仕上がりなら結果は見えていることだし
でも、芝居って最後のゲネプロまぎわでぐんと良くなる作品も
あるそうですから・・・
どうなりますか、興味は尽きないところです
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