種の起源@壱組印
もしかしたら
私は心をゆっくりとゆすられることに飢えているのかもしれません
現在上演中の壱組印の公演のなかで
西牟田恵さんの演技を見て
ふっとそんな自分を感じていました
芝居を観ているといろんな感動があって
たとえば全体にゆっくりと重さがやってくるような感動もあれば
切り裂くように心を二つにしてしまう感動もある
それらはやがて私の記憶の起伏として
私自身をかたどっていくなにかになっていくのですが
ゆるく包み込むようにやってくる感動は
ちょっと結末が違う
壱組印で昔「小林秀雄先生来る」という芝居を観たとき
大谷亮介や小林秀雄(実は亡霊)を演じて
そのときの雑談がちょうどゆるく包み込むようにやってくる感動
だったのですよ
内容はもうどこかに飛んでしまったのですが
(大体覚えているのですが正確ではないような気がする・・)
まるで上質なお茶をゆっくり味わうような感じ
透明でしっかりとした熱さを持った高揚が
ゆっくりと心を満たしていく
別に涙も出ないし、震えもこない
でも本当に満たされた心を感じている自分
それは、固まってしまうような強い感動、
たとえばNylon100℃の「消失」ようなものと
ちょうど対極にあって
心の外皮にやってくる震えではなく
心の内側をゆっくりと愛撫されたような感じ
「消失」も私の記憶に多分一生残るような名作だとおもうし
松永玲子さんの最後の台詞はきっと一生忘れないと思うのですが
感動って実は360度のベクトルで存在すると思うのです
西牟田さん演じるおばあさんが
ぬかづけとバクテリアの話をするとき
たとえば遺産や兄弟の確執までもが
ふっと溶けてしまうようなあの不思議な時間が
私の心のどこかにすっと染み入って
自分の中のなにかが本当に暖かく愛撫されるのを感じて
作品自体はシニカルな部分がけっこうあるのですが
わたしにはそんなものも西牟田さんの作り出した時間に
吹っ飛んでしまった
西牟田さんは、サードステージのころの
きれた演技のすばらしさが印象に残っていたのですが
本当によい役者になられましたね・・・
今後の彼女の演技を楽しみにするだけで・・・・
また人生の楽しみがひとつ増えたような気がします
なお、種の起源のちょっとだけ詳細は
R-Club本館にお立ち寄りいただければ幸いです
けっこうここと似ていることを書いていたりするのですが
そこらへんはご容赦を
種の起源は19日までシアタートップスで・・・
当日券があるのかどうかはわからないし
けっこう好き嫌いがある芝居かもしれないけれど
とりあえず私的にはお勧めです
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