un_titled あるいはガラス箱の中の砂糖菓子
脂が乗っているというのでしょうか
年齢的に力と技のバランスが一番よい頃なのでしょうか
bird’s eye viewの舞台に立つ役者たちには
本当に魅せられます
R-Clubにも書いたのですが
櫻井智也や松下好、小手伸也あたりになると
彼らの芝居を見ただけで元が取れたような気になってしまう
しかも彼らだけではなく
他の役者たちにも切れがたっぷり溢れて・・・
切れが溢れてっていうのも変な言い方なのですが
たとえばブロードウェイのミュージカルのダンサーたちって
すごいことを何気にやって平気な顔をしているじゃないですか・・・
あれと同じで、一定のルールのなかで最大限ゆとりのある表現を
さりげなくやってみせてくれる
登場人物間の一定のロジックで構築された空間は
そのロジックを理解する鍵さえ観客に持たせれば
非常に強い表現の武器に成るわけで・・・
その鍵の渡し方に彼ら独特の洗練があって・
そもそも
この劇団から染み出すソリッドでお洒落な感覚の根源は
ロジックの鍵の渡し方だとわたしはにらんでいるのですが
そこを役者達の力がしっかりとささえているのです
そして、いくつものロジックのかたまりを包括する箱が
さらにその外にあって物語にしっかした角度をつけている
箱のフレームはアウトラインはいくつものジェスチアの繰り返しで
描かれます
最初・真ん中・最後・・・
それは、たとえば生活・・・
家に帰ってテレビをつけて窓をあけて・・・
綿々たくさんの同様の時間が続く空間
そして提示されたフレームの内側で
様々な関係性のテイストが表現されていきます
ロジックにぶら下がった物語を味わいながら
次第にその不可思議なコンテンツ達にとりこまれ
気が付けばそれらのコンテンツのパッケージに書かれた
作者の表現しようとしているコアが浮かんで見えているという
仕組みというか趣向
ひとつ間違えば自己満足とか独りよがりの表現に陥るところを
寸止めでさっと引き上げて見せる巧みさには舌を巻くばかり・・・
あれだけのものを
アゴラ劇場のような100人前後のキャパのところでみるのは
本当に贅沢というか、もったいないというか・・・
間違いなくなにかが満ちた感覚のある時間で・・・
なにかには心地よい冷感と暖かさが絶妙なバランスで
混在している
ガラス細工のような透明感と存在感が
ふっとさびしさと充足感にすりかわって
このテイストの豊穣さなにかと思い描いているうちに
再び役者のよさにたどり着いてしまうのです
22日までの公演だそうですが
チケットがとれるのなら
是非是非お勧めということで・・・
いろんな意味でおもしろかった
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