ムーンリバーのほとりで(鈴置洋孝プロデュース)
(3月9日一部改訂しました)
これこそ本当に歳がばれるのですが・・・
本当にかすかに、アンディウイリアムズショーのことを覚えています
オズモンドブラザーズなんかが一緒にでていたやつ・・・
小学校にいったか行かなかったかのころだと思います
でも、その頃聞いた唄って頭のどこかで覚えているもので・・・
ムーンリバー♪
聞くたびになんというか遠い記憶が蘇ってきます
転向する前に通っていた小学校の
帰り道の風景とか・・・
担任の先生とか・・・
記憶というのはそれなりに不思議なもので・・・
で、あまりつながりのない枕のあとは、
当代枕の達人といわれる小三治師匠の偉大さをかみしめつつ
お芝居の「ムーンリバー」です
この芝居を見に行こうと思ったのは
ひたすら桑原裕子さんの作るものを見たかったから・・・
桑原裕子さんを始めてみたのは双数姉妹の「双数姉妹」という
公演だったような気がします。
紀伊国屋サザンシアターのステージは
それはもう美しく
彼女は鏡の世界の中で危うく不確定な空間のなかで
輝いていたような記憶があります
今回鈴置洋孝プロデュースでは「ムーンリバー」では作・出演ということで・・・
前回の双数姉妹で彼女の役者としてのアビリティについては十分味わったつもり
なのですが、作者としての彼女の作品も見たくて・・・
細かい劇評はR-Clubを見ていただきたいのですが
彼女の作品、鈴置プロデュースの舞台ではなんというか
かなり切れすぎている印象でした。
戯曲としてのクオリティーは非常に高く
登場人物の心情のつかみ方はきちんと観客に入り込んでくるような
強さがあるのですが・・・、
中盤まではリズムが会わない部分があって・・・
桑原流の小技が生きてこないというか・・・
出演している役者達はみなさん芸達者なのですが
彼女の描き出す作品のリズムでステップを踏もうとしても
ついていけない部分もあったような・・・
うまさと器用さの違いというか・・・
伏線を張ってある部分とか、物語の変わり目になる部分での
舞台の運び方決め方は皆さんさすがなのですけれどね・・・
そう、サッカーでいうと長いパスを相手陣内にほうりこむのはうまいけれど
小さなパスまわしに
舞台の雰囲気全体がついていかない部分があるというか・・・
結果として
ぽんと投げ出しておいてあとで意外な方向に倒れるような伏線は
しっかり演技されているのですが
小ネタ即決めみたいな部分のくすぐりがけっこう流れていた・・・
桑原裕子自身のぼけが拾われていないなんていうのはかわゆいもので
あるネタからちょっと物語をはずれてふくらませた内容が
そのままたなざらしのようになったりする部分も・・・
パスワークがうまくいっていないというかなんというか・・・
たとえば双数姉妹の芝居などは、
ゆっくり流れているようでも
実は言葉とか動作に早いパスまわしがちゃんとある・・・
桑原裕子になる台本もそこの部分がなされる前提になって
かかれているのだと思うのです
けれど、新劇系というか今回出演の役者さんは
そのスピードがなんとなくちがう
多分桑原的にはしっかり沈むべきところが沈んでいなかったり
返してほしいパスが帰ってこなかったりなど
けっこうあったのではとさえ思ってしまいました
話は横道にそれるのですが
たまたま、土曜日にパチンコで大勝ちをしました。
そりゃ勝負事だから負けたり小勝ちになったりというのは
それなりにありますが・・・
土曜日はまるで神の手が触れたように
何をやっても当たる感じで・・・
おかげさまで
前からほしかった「夢の遊民社」のDVD全5巻を手に入れることが
できました
今見ても彼らの舞台の切れってすごくてね・・・
最近見た「走れメルス」なんて「小指の思い出」にくらべると
遊んでいるようにすら見える・・・
うまい/下手という話をすると、野田秀樹にしてからが
今の彼の足元にも及ばない感じで
どこかにスキが残るような部分もあるのですが
とにかく舞台全体を使ったお芝居に
動きを目一杯ちりばめて
少なくとも舞台の上にデッドスペースがないというか・・・
きちんと舞台全体が活性化しているというか・・・
桑原裕子の今回のお芝居も、夢の遊民社とまでいかなくても
ワン・ツーのようなパス回しが最初からきちんとあったら
後半部分の密度がもっとしっかりした舞台になったと思うのですが・・・
まあ、そうはいってもお芝居も後半になると登場人物も増えて
舞台全体が様々なエピソードに満たされて
桑原裕子の紡いだ言葉が
とりのこされることなくきちんと機能するようになるのですが・・・
最後はかなりほろっとしたし・・・
芝居として決して悪くはないのだけれど・・・
なにかまだ袋の中にはいろんなものが詰まりそうな
お芝居だったなと思います
「限りないもの、それは欲望♪」という歌もありますし・・・
求めればきりがないことではあるのですが・・・
なんだかんだ文句をいっても、桑原裕子さんの才能を見たり
藤本樹子さんという役者さんをしることができたので
それだけでも結構満足ではあったのですが・・・
芝居をみる者は
けっこう貪欲だったりするのです
ムーンリバーの歌に自分の幼年期のイメージを求めるような輩ですから
舞台にころがっているものはすべて拾ってみたくなる
で、それができないとちょっと悲しくなったりするのです
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