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夢で会いましょう

最近、私が楽しみにしている番組のひとつに
日曜日の夜のNHKアーカイブスがあります

要は昔の番組を再放送するだけの
とてもシンプルな企画なのですが
これがとてつもなくおもしろい
いろんな伝説になった番組を一本丸ごと
見ることができるわけですから・・・

昔の番組の一シーンを集めたような企画はたくさんありましたが
なかなか番組一本となると見る機会がなくて・・・
ましては1960年代のものとなると
めったにそんな機会はないわけで・・・
でもやっぱり一本通してみないと番組のディテールなんてわかりませんものね

NHKの番組、しかもそんなに昔の番組となると
どこか教条的でまちがってもユーモアなんてないようなイメージですが
「夢で会いましょう」は全然違っていました
まず、どこかお洒落なのです
24日に再放送した分は受付がテーマでしたが
コントののりもなかなか良くて
今のコントと比べてみてもそんなに時代遅れの感じが
しないのがすごい

デパートの受付に黒柳徹子が座って
番組を進めていくというような場面もあって
これはこれでなかなか歯切れがあって・・・

九重佑三子・坂本九・谷幹一・渥美清なんて
いまでは伝説になったり場合によってはあちら側に行かれた人々が
みんな生き生きとしていて・・・

でも、一番感心したのは
中村八大が演奏するピアノの粋なこと
楽器売り場で演奏するというような設定なのですが
セットもある意味チープではあるけれど
ウィットが効いていてお洒落で・・・

昔、父に戦前の日本って毎日が暗い雰囲気で大変だったのではないかと
聞いたら、実はのんびりとしていて楽しい時代だったといわれて
驚いたことがあるのですが
モノクロテレビに機材もいまとは比べ物にならないくらいに悪い
むかしでも、テレビはとても洗練されて粋だったというのは
ちょっと意外な感じがしました
昔を今の感覚でみるのと、現実にそこで生活している感覚というのは
実はちがったりするのですね・・・

そう、あと思ったのは坂本九や九重佑三子の歌、
いまよりずっとダイレクトに思いを伝えていたのですね
ウェデングドレスや一人の人を思う気持ちが今より
ずっと新鮮に思えた時代だったのかもしれませんが・・・
彼らの歌は、まるで摘みたての果物をそのまま口に運ぶように
みずみずしく、ちょっと甘酸っぱく感じだことでした

彼らがその後にたどる運命、
渥美清は「フーテンの寅さん」という当たり役をもらい
坂本九は日航機事故で天に召され
黒柳徹子は「ザ・ベストテン」で大活躍後国連の活動にたずさわる・・

今、舞台で何かを演じている人々にはどんな人生がまちうけているのでしょうか
そして彼らを見つめる客席の人々の人生は・・・?

劇場は針の穴のようなものだという比喩もあります
観客と役者が一点に集まって、同じものを共有し
また離れていく場所という意味だそうですが
テレビの番組もおなじなのかもしれませんね・・・
その時間、テレビの前にいる人々は
何かを共有して、またそれぞれの生活に別れていく

話は違うのですが、番組のコントとはいえ、番組の最後に
デパートの受付嬢役の黒柳徹子が
特売場はと谷幹一にきかれ
きっぱりとここですと言い切ったのにはわらった。
もう十年も売れ残っているというのはアドリブのような
気もしますが・・・・
番組としても良く出来た落ちでした・・

なんかああいうベタなギャグをアドリブ込みで
堂々と出来る時代って
放送に対して妙なストレスが
少なかった時代なのでしょうね

「夢で会いましょう」はいろんな意味で
昔の日本のイメージを払拭してくれる
ちょっと小粋な作品でした


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