Swing Girls
前にも書いたと思うのですが
私がたまたまNYに遊びにいった
2001年2月当時、ブロードウェイ44丁目では
SwingとFosseという二つのミュージカルが向かい合わせの劇場に
かかっていて
両方ともフィナーレのナンバーは
ベニーグットマンでおなじみの「SingSingSing」でした
しかも両方ともオンステージバンド、
ジルバのダンスと極上のコーラスに彩られた「Swing」に対して
Bob Fosseの極上の振付で一気に見せる「Fosse」
ある意味対照的でありながら観客を惹き込むパワーという点で
共通した舞台でしたが
特にオンステージバンドが本当にときめくような
魅力を持ったフィナーレということで印象を残した舞台でもありました
スタンダードといわれるジャズの名曲たちのなかでも
「SingSingSing]というのはビッグバンドの魅力を
一番引き出しやすい作品なのかもしれませんね
ワクワクするようなイントロに
覚えやすいメロディ
ソロが次々にかぶさってくるたびに観客は酔いしれ
ドラムのソロ(定番のライトシンクロとあいまって)に
観客の心は高揚していきます
実際のところサックスのパートが立ち上がるだけで
もう観客の気持ちはステージにいってしまう
今、けっこうヒットしている映画、
「Swing Girls」のクライマックス、音楽祭のシーンでも
使われているのが「SingSingSing」で
これがまたかっこよいのです
制服(セーラー服)と金管楽器の輝きがアンマッチで
サックスが立ち上がるシーンでは
いつもより倍ときめいてしまったり・・・
トランペットのパートがくるっと楽器まわしを決めるのを見ると
彼女達の笑顔に自分の心が重なってしまう気がする
ドラムソロのところでエピソードをからめてライトが絞られるのも
いいし・・・・
もともとよく出来た話というか映画なのです
ドミノ倒しのように話がすすんでいくのが小気味よいし
台詞だけでなく仕草や行動でSwing Girlsたちのキャラクターが
きちんと語られていくので
観客は知らず知らずのうちに彼女達の目線で物語をみることが
できるようになっている
ネタバレになるのであまり書きませんが、
おもわずうふっとなるような細かい表現がたくさんあって
だから猪のようなちょっと現実離れしたエピソードでも
浮かないで物語のなかにしっかりと入り込んでくる。
猪の部分はバックに流れるサッチモがとてもよくて
この辺のセンスのよさが
スクリーンのベタなギャグにも輝きをもたせて・・・
彼女達の演奏がうまくなっていく過程って
彼女たちがBigBandに出会うエピソードにくらべると
驚くほど淡白にしか描かれていないのですが
彼女達のコアにある、なんというか、真摯さのようなものが
きちんと表現されているので
(観客はまるで自分のなかにあるマジな部分に重ね合わせる
ようにスクリーンの彼女達のジャズへの憧れを
信じてしまう)
彼女達の演奏の上達はある種の必然として受け入れらるし
彼女達が必然の結果として発表の機会を得られることに
素直な喜びを感じたりもします
で、ラストシーン・・・
あわてて会場に入ってきて
みんなが動揺したまま演奏を始めようとしているときに
トロンボーンの女性がそれを制してチューニングをはじめる
シーンがよい
彼女達ひとりひとりの表情がすーっと落ち着きを戻すところが
非常に秀逸な表現で
それが、「ムーンライトセレナーデ」から「SingSingSing」への
至福の時間を単なる演奏シーンにせず
彼女達ひとりずつの個性がひとつの演奏にまとまっていき
演奏が輝いていくための
伏線にすらなっていたように思います
平日の最終に見たのですが客席はほぼ満杯でした
(日比谷シャンテ=時刻指定定員制)
始まる前の予告編のひそひそ話に耳ダンボにしていると
後ろの席の女性ふたりづれはリピーターとのこと
たしかに前半の学生時代のかっこわるいけれど
それでもうふっと笑えるようなエピソード達と
最後の達成感とかっこよさには
人をはまらせる何かがあります
出演者の今後の活躍も楽しみだし
(活躍してくれるとうれしいと素直に思ってしまう)
矢口映画、ちょっと目がはなせませんね・・・
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