« 風は積み重ねても軽いーアフターダークの感想ですー | トップページ | 演劇を映像で(一部改訂) »

セピア19xx

一週間ほど前になるのですが
銀座ソニービルのショーウィンドウに
素敵な絵が飾られているのをみました
どこかでみたような・・・
柔らかく丸いきりえのようなタッチの絵

近づいてよく見ると
村下孝蔵のLPのジャケットの原画・・・
一度にいくつかの時間を思い出してしまいました

不思議なもので
彼の歌がプリズムのようになって
その先にまだ学生の頃の私がいた
「初恋」の歌詞のとおり、放課後の校庭に
あの人がいて・・・
メタセコイアの木の下で
友達と笑顔で何かをはなしていた・・・

秋の風がすこし冷たく感じられる頃・・・
10月・・・・夕暮れの早さにすこしさびしさが募る頃
あの人は・・・・
少女のままでそこにいた

そのころ、かなり大人びて見えたその人が
今の私には少女にしか見えず
それゆえに自らの過ごした時間の重なりが
雲母のようにかがやいて・・・・
高校時代のあの日々もまるで
いっぺんのきららに封じ込められた
光のように思えます

初めて「初恋」を聞いたとき
私はラジオをつけっぱなしにして週刊誌を読んでいた
記憶があります
窓からの風がここちよさげにカーテンをゆらして・・・
聴くともなしに聴いた歌詞が
私の前に導いたのは
空想の絵でもなく目の前のグラビア写真でもなく
まる映画の1シーンでした
もう何年もわすれていた何十秒かの光景・・・

人の記憶は
繋がっているのではなく
重なっていることに
初めて気が付いた瞬間・・・・・

想いに飢えることってありませんか?
心の密度が気づかないうちに薄くなっているとき・・・
そんなときわたしはふっと歌を思い出します
そのなかの一曲が「初恋」・・・
耳の中でサビを反芻しているうちに
雲母を薄くはがして
現実に虚飾に芝居のシーンまでが重なりあった
塊を薄いいっぺんのプラスチックの板のようにして
光の下においている自分に気づくのです

まるで「初恋」の主人公が放課後の校庭を走る少女を想うように
想いの後ろには必ず共鳴するシーンがあります

感動できるというのは共鳴できること
共鳴は積み重ねられたシーンの賜物
だから、たとえばよい芝居に感動したようなときには
何かを感じられた自分を楽しみながら
私の中に積み重ねられた時間の登場人物たち
たとえば・・・・・
そう・・・少女のままの彼女に感謝している

銀座の真ん中でちょっとぼーっと
「初恋」のジャケット原画をみながら
9月に見たいくつかの芝居の感動のはるかふもとにたたずむ
彼女に忘れていたお礼をつぶやいたことでした

R-Club

|

« 風は積み重ねても軽いーアフターダークの感想ですー | トップページ | 演劇を映像で(一部改訂) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: セピア19xx:

« 風は積み重ねても軽いーアフターダークの感想ですー | トップページ | 演劇を映像で(一部改訂) »