« ハセキョン悪くはないのだけれど・・・ | トップページ | いつが見頃かな・・・ »

ちょっと悩ましい鴻上さんNext

久しぶりにThirdStageからメールが来ていました
11月公演の案内でタイトルは「リンダリンダ・・・」
全編をBlueHeartsの音楽でつないでいくミュージカル仕立ての
舞台だそうです

鴻上氏いわく
「自分にとっての「マンマ・ミーア」を、
今はないバンドで、自分自身の気持ちを込められる」
とのことで構想したのだそうです

よいチャレンジだとは思うのです
もともとお芝居には観客が持ついろいろなものを
借景に成り立たせるようなところがあるし
第三舞台がいちばん元気だった頃の作品では
借景自体がシャープで観客を一気に舞台にとりこむような
勢いがあったように記憶しています

ただね・・・、チケットのお値段もけっこうなものだし
やっぱりいろいろと不安があるわけですよ・・・
余計なお世話かもしれないけれど・・・

一番気になっているのは
最近の鴻上さんの作品において
物語のベースとなる今への現状認識の甘さが見られること・・・
私が彼の作品に一番惹かれていた頃には
彼の提示する現状認識には
観客にとって心を切り裂くほどに鋭い「気づき」のようなものが含まれていて
その「気づき」の中でスピーディーに提示される物語
(もしくは物語の断片達)に
観客はひとえに揺り動かされるしかないという状態でした
でも、最近の作品のなかに含まれるかれの現状認識は
ステレオタイプでどこか陳腐にも思えて・・・、
そんな現状分析をうまく見せることで
(幸いか不幸か彼はその技術を彼は十分すぎるほど持っている)
観客をとりこもうとしているようにさえ感じることもしばしばで
それがうまくいく部分では及第点の芝居にはなるのですが
少しでも表現が前衛化したり彼の想いが観客のキャパを飛び越えて機能しなくなると
作品全体にある種の姑息感(?)というかかびくささが
漂ってしまうのです

もし、「リンダリンダ」が成功するとすれば

・鴻上さんの中の現状認識のようなものが、
 今に対してしっかり修正されて
 Blueheartsの歌に含まれる普遍性を借景に
 きちんと現状を踏まえた彼の想いが妥協なく表現されている

もしくは

・鴻上さんが物語の語り部に徹して
 妙に今を取り込むことなく
 ウェルメイドの作品として
 Blueheartsの言葉とメロディーをツールに
 人間にとって普遍的ななにかを描ききる

どちらかのパターンが成立したときではないかとおもっているのですが・・・
なんか不安な気持ちを感じてしまうのもまた事実・・・

一番すてきなサプライズは
上記のいずれのパターンにも属さない状態で
彼が観客に新しい世界を提示してくれることなのですが・・・

今回のThirdstageからのメールマガジン(?)は
ただの観客である私を、お門違いにかなり悩ましい気持ちにさせるものでありました


R-Club(私が最後に見た鴻上作品である「ハルシオンデイズ」の
感想も掲示してあります) 

|

« ハセキョン悪くはないのだけれど・・・ | トップページ | いつが見頃かな・・・ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ちょっと悩ましい鴻上さんNext:

« ハセキョン悪くはないのだけれど・・・ | トップページ | いつが見頃かな・・・ »