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ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット 

「歌は世につれ、世は歌につれ・・・」というのは
私がまだ物心ついてまもないころ
ロッテ歌のアルバムの司会をしていた
玉置宏の名台詞ですが
音楽と時代というのは思い出のなかで見事な相関関係を
描いているようです

「バナナが好きな人」が始まる前に、昭和40年代初頭の曲、
私にしてみれば小学生のころに耳タコになるほど
テレビから聞いた曲が流れていて
それがちゃんと自分の耳にのこっているのにびっくり
何曲かは一緒に口ずさんだり出来たり・・・
それだけで物語にたいする自分の視点が
温水洋一さん演じる子供と同じになっている

すでに本館(R-Club)の劇評にも
書いたので芝居自体のことについては書きませんが
音楽っていうのは自分の道程にを照らす街灯のように
そのときの色や形を浮かび上がらせてくれるものなのかもしれません
そういえば中井貴一みたいなおとうさんって、
けっこう現実にいたかも・・・・

時代を示す音楽といえば
最近、インターネットのダウンロードサイトで発見して
毎日気にいって聴いているのが
「中原めいこ」のTwin Best・・・
1980年から90年を彩った彼女の曲、30曲(ダウンロード料金2500円弱)を
聴いていると昔のいろんなシーンが次々とよみがえってきます

彼女の歌には明確なシーン割りと物語が構築されているものが多くて
今時代を隔てて聞いていて、まるでドラマの素敵な一場面に触れるようで・・・

中原めいこの曲として一番有名なのは「きみたちキーウィ・パパイヤ・マンゴだね」だと
思うのですが、私が一番の名曲だと思うのは
「ココナッツの片思い」という比較的初期の曲です。
この曲に歌われいる女性の心情をどう表現すればよいのでしょうか・・・
今にしておもえば時代だし、ある意味ピュアな感じすらするし・・・
で、背景のドラマもなんとなく見えるような・・・

彼女の後期の曲のなかでは「ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット」もよい曲ですね
ダーティペアのテーマソングだそうですが・・・
ちょっとチープで危ない雰囲気を本当によく表現していて・・・
ある意味彼女の才能を感じる曲です

彼女はいまNew Yorkにいるという話を聴いたことがあるのですが・・・
バブルの絶頂期からやや衰退期にかけて歌をやめてしまって
今頃どうしているのでしょうか?
もちろんプライベートな事情などもあるのでしょうが・・・

振り返って輝いて見える才能の発露が
どこかでプッチんと途切れていると
なにか気になってしまうものがあります
もし、彼女が歌い続けていたら
今、彼女のメロディーにのせて語られる言葉は
どのようなものなのだろうって・・・

それはたとえば尾崎翠が最後に書いた作品を読んだあとに訪れる
不可思議なさびしさのようなものに似ています

なんか彼女の新しい歌、聴きたいですよね・・・
いろんな意味でわがままな願いだけれど・・・

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