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タップに魅せられて・・・

突然ですがタップダンスのお話です。

今朝、地下鉄に乗っていたのですが、
止まった駅の窓のむこうのホームでタップを踏んでいる黒人の男がいて・・・
ちょっとわくわくしてしまいました。
なんかブロンクスあたりだとなじむ光景なのですけれどね・・・
でもなにかが心のなかではじけた・・・

もちろん私はタップダンスなどこれっぽっちもできないのですが
見るほうは一応いろんなタップダンスを体験しているので
多少はレベルもわかるし
それ以前にタップダンスをみるたびに
私の体のなにかと共鳴するようなきがするのです

ちょっと前にセヴィオン. グローバーの「ノイズ&ファンク」を見たとき
新しいタップのスタイルに痛く感動したのですが
今の何かを求める気持ちはああいうのとはちょっとちがう
パワーのあるタップも決して悪くないのですが
同時に力を軽さにかえたような繊細でシャープな
タップが無性に見たくなっています

「Uptown It‘s Hot」というレビューが昔々ブロードウェイでかかりまして
その中でモーリスハインツがソロで演じた約5分のタップはすごかったな・・・
彼は「Cotton Club」というリチャードギアが主演した映画に
兄のグレゴリーハインツと一緒に出演していましたが
その演技って彼にとっては流すようなレベルでしかなったことが良くわかった
かれのガチンコ演技を見たときにはもう忘れえぬ感動でした
一本のスポットの下で
鋭い靴音で刻んでいくリズムの美しさ
時に靴裏をつかって奏でる摺り音をアクセントに
リズムはどんどんと進化を遂げていく感じ
息もつかせぬステップの連発に何度も拍手が沸きかけるのですが
そのたびに彼は「Not Now」とそれを制して
最後に神業のようなリズムをものすごい切れで刻んで
場内の今度は(拍手をして)いいだろうという雰囲気に答えるように
「Now」といってbowをして見せるのです

あと3人のブルーのタキシード(黒人に似合うちょっと光沢のある青でした)が
一糸乱れずに踊る「ダイナ」も忘れられません・・・
まるでフレッドアステアの映画の一シーンのよう・・・
夢でもみているような気分・・・
すごいことをやっているのにさりげなく流れていく
シーンの連続
感動はひとつのシーンのすごさではなく
すごいシーンの継続のなかで高まっていくのです

もちろんbroadwayにかかるレビューですから
レベル的には最高峰のものであったはずですが
本当にレベルの高いものは
すごいものを見ているという自らに言い聞かせるような感動でなく
つつみこむような至福感を観客にあたえるものなのだということを
このとき初めて知りました

後楽園のタップを見たとき
ふっと至福感に対する飢えのようなものを感じた・・・

贅沢な飢えではあるのですが・・・
でも豊かな感覚を求める気持ちを持ち続けるのは
悪いことではないと思っています
まあ、ある意味高くつきますけれどね・・・はあ・・・

R-Club 

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