« 小さなこと・大きなこと | トップページ | Accuradioを聴きながら »

歯ごたえの大切さ(芝居も食べ物も・・・)

うちにはモルモットがいます。
一匹は人間の年齢にすると70歳をこえるようなおばあちゃんなのですが
最近かむ力が弱ってきて物がうまく食べられなくなってきました
モルモットというのはすこし絶食状態になると
腸内で食べ物をエネルギーに変えてくれる菌が死んでしまうので
かむのが出来ないというのは死活問題・・・
で、しょうがなくてスウィートコーンとクランベリー(冷凍)を
擂り鉢ですったものを与えています

彼女にはもう、昔食べていたきゅうりは大きすぎるみたいで
擦ったものの方が口に合うみたいで・・・
もうばくばく食っています

でも、もう一匹、人間の年齢だと20代後半になるモルモットがいるのですが
彼女は擦ったものを一切食べない・・
きゅうりをぼりぼりと一気にやるのが好み・・・
彼女たちを見ていて口当たりとか歯ごたえって大切だと思います

ただ、難しいのですよ
歯ごたえが適当でありながら栄養が十分で、
なおかつ食欲をそそる、すなわちモルモットにとって物をつくるのは・・・

芝居も同じ・・・
独善的に苦いだけや甘いだけの芝居は見ていられないし
だからといって媚びる様な味付けは食欲をそそらないし
ましてや、食べる(観る)人の年齢や環境やその日の体調でも
テイストの感じ方も変わってくるし・・・

最近みたなかで一番極上の歯ごたえや味を感じたのは
「透明人間の蒸気」の再演ですが
そういう意味でバランスが本当によいなと思ったのは
少しだけ昔の公演になりますが
「双数姉妹」の「やや無情」になりましょうか

しっかりしたモチーフもさることながら
芝居の最後に出演者たちが行う「礼」の口当たりが
極上で・・・すっとはいって演じることの価値を観客に示す力量に
思わず取り込まれてしまいました

「透明人間の蒸気」は出汁を贅沢に使って作られた
京料理のたけのこのよう・・・
京懐石は思いのほかボリュームもしっかりしていますから
「ハルシオンデイズ」はちょっとお砂糖の甘さが強すぎる
フレンチのデザート

人間には五感(六感)というものがありますが、感覚のバランスは
自分のことでありながら、芝居を見る人間も作る人間も案外
自らのなかでうまくコントロールできないことなのかもしれません
鏡の中の自分のぬくもりを肌では感じられないのと同じ・・・

だから感じたことや思いつきなどが自分の中でなんなのかを表現するには
媒体のようなものが必要な気がします
料理になぞらえるなどユニークな概念が一番
テイストがつかめる芝居はよいお芝居だし
そのテイストの表現についてお互いが理解しあえば
たとえば、ありふれたランキングなどいらないかもしれないし

ちなみに上記の双数姉妹の公演は私が感じた去年のお芝居おいしい度の
なかで3本の指に入るさくひんなのですが夏の公演が決まっているそうです
これはとても楽しみ
やっぱりモルモットに限らず
おいしいものは体でおぼえているし、おいしいものの連続は
命すらをつなぐ・・・
だけど、いろんなものをちゃんと食べようね
ということだと思います

なお双数姉妹の上記感想は


R-Club

のお芝居感想のページにしまってあります。
よかったらごらん下さい

|

« 小さなこと・大きなこと | トップページ | Accuradioを聴きながら »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歯ごたえの大切さ(芝居も食べ物も・・・):

» 透明人間の蒸気 [Return of the まにあな日記]
劇場で観た演劇をどうしてわざわざテレビで、ってことはあるのだが、WOWOWでやっていたので野田地図の「透明人間の蒸気」を鑑賞。 劇場で観たときの感想はこち... [続きを読む]

受信: 2004/07/20 00:14

« 小さなこと・大きなこと | トップページ | Accuradioを聴きながら »