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2010年9月 9日 (木)

劇団appleApple 「オドル」 ひと時の感覚を広げきる力(記録)

2010年8月28日マチネにて劇団appleApple 「オドル」を観ました。場所はThe Artcomplex Center

そのひと時の感触から、
広がっていく想いに捉えられ、
再び収束して刹那にいたるその想いに
深く浸潤されました。

内心を物語に編み上げていく、
その手法や表現に斬新さと洗練があって、
見せるものと隠すもの、、
さらには浮かび上がってくる世界に
息を呑む。

光や影の使い方も実に秀逸。
役者の所作にも切れがあって。

冒頭の刹那から、
終盤ふたたび広がる
主人公の想いや「おどる」ことの質感に
圧倒されました

(ここからネタばれがあります。十分にご留意ください)

作・演出 : 永妻 優一

出演   : 恩田 和恵 / 土肥 祥子 / 黒田 北斗
   石原 尚大 / 蒔田 陽一 / 笠井 貴子 / 本多 巧

大きな布を幕としてL字型に張って
客席との境にして・・・。
冒頭のモノローグで夜明け前の刹那のごとき感覚を
空間に描きあげると、
幕を取り去ってその世界に観客を導きいれます。

光に照らされるもの、シルエット、そして闇。
さらには、聞こえる声と隠される音。
晒すものと隠すものは明確な意図に裏打ちされていて、
観る側がすっと世界に捕捉される。
舞台の闇の部分にも
しなやかな密度があって。
ギャラリーという空間の制約を逆手に取ったような
常ならぬ光のハンドリングと、
抜群の切れをもった言葉たちが、
斬新な表現のセンスを武器にして
エッジを持った世界観を作り上げていきます。

ダイアログ、部屋の内と外、携帯・・・
次第に浮かび上がってくる物語。
登場人物のロールが定まって
質感の違いが生まれていく。
ソリッドな肌合いを持った空間に、
すこしずつウェットな生々しい感覚が
織り込まれていく。

気がつけば、
光と影に織り上げられた物語の顛末に、
がっつりと心を奪われているのです。

部屋の外で語られるモラルや説得、
銃をつかうこと、ホテルの支配人、それぞれの立場。
内で語られる、窓のことや、言葉で伝えられないもの、
いっしょにいたい気持ち、チョコレート・・・。
妊娠・・・。
閉塞感のなかで膨らんでいくエピソード。
それらが満ちて、やがては混じりあって・・。

再び冒頭の刹那に収束していきます。
閉塞した世界のロール達が
こぼれることなく、とまどうことなく
現実でのありようへと鮮やかに姿を変えていく。
そのしなやかさと滲みのない表現の精度が圧倒的。

そして、冒頭の刹那の先に足を踏み込んだ、
主人公から伝わってくる
「おどる」感覚にも目を見張るのです。

シンプルで創意を持った舞台美術や
強い印象を醸し出す照明の手法にも
強く心を惹かれました。
役者達の動きもとてもきれいな舞台。
それぞれのシーンにあいまいさや滲みがなく、
切っ先がしっかりとあって・・・。

物語の中盤に
かすかなもたつきというか
饒舌すぎる印象はあったものの、
それを凌駕するだけの表現力が
舞台に構築されていて。

女性の想いにとどまらず、
主人公が「おどる」ことの
広がりにも心を奪われたまま、
劇場を後にしたことでした。

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